彼氏 卒業編 14

262_20101029111227.jpg
イラスト 菌うさぎ



読者の皆様
いつも読んでくださってありがとうございます☆

続きを読まれる方は
ぜひ、コチラからどうぞ
↓↓↓↓↓↓↓↓ 沖田の前で、立つ神楽は震えている。
ずっと沖田の隣にいるのは自分だったはず。同じ教室に入って、机並べて笑っていたのは、いつも自分だったのに。
どうして、あの娘が隣で笑ってるんだろう。
どうして、一緒に歩いているのは、自分じゃないんだろう。
「神楽」
「だって――っ、不安アルっ」
背を向けているその顔を、こちら側に向かせようとする、けれど神楽は嫌だと反抗する。
「こっち向けって」
半ば強引に振り向かせた神楽の顔は、涙にまみれていた。
「~~っ……っ」
さっきまで、腹を立てていたのに、こんな顔を見せられてしまっては、結局降参だとばかりに沖田は息をついた。
「分かった、落ち着けよ」
ぎゅっと抱きしめると、泣き止めとばかりに背中をさする。

悪いのは神楽の方なのに、何故か自分の方が悪く思えてくる。
しかも神楽は計算できる女じゃない事くらい分かってる。これが素だから余計にやっかいなのだ。

神楽は沖田の服をきゅっと握り締める。
どうしてこんな所まで来たか……そんなの自分が一番知りたかった。
信用できてないとか、見つかってしまったらとか、そんな事頭の中で、来る間何回だって考えた。

(お前の事になると、自分が制御できなくなるアル)

腕の中にいる神楽の気持ちを宥める手は、もうあのホテル街の時の様に強くも苛立ちもなく、ただ優しかった。

(コンコン)
部屋の扉がノックされた音が二人に聞こえた。
それが誰が発した音か、神楽にはすぐに分かった。だから咄嗟に沖田の体を、神楽は思わずつかんでしまった。
そんな神楽を宥めるように、髪をくしゃくしゃと遊ばせると、沖田は、扉を少し空けた。

「沖田先輩、何してました?」
声の持ち主は、桜庭 沙良に間違いなかった。
「あー……」
何と言おうか、迷っているそぶりが見える沖田。
「今、ちょっと――」
沖田が言葉を選ぶのも無理はない。
一応、大学の行事の一環。女を連れ込んでいると分かれば、沖田の心情も悪くなる。
もしも入ってきたらヤバイと思った神楽は、バスルームに隠れた。
バスルームの扉の向こう側からは、今もまだ話は続いている。押し問答のような状態がしばらく続いた後、沙良は、自分の部屋に帰ったようだった。

(何してるアルカ、私)
脱衣場に、座りこんでは、自分の行動になさけなくなる。
いつもこうだ。猪突猛進に突っ走って、結局それが空回りしては、沖田につかまってしまう。
その度反省はするけれど、結局目の前の現実がこうだ。

「神楽」
ドアの向こう側から、沖田の声が聞こえた。
ゆっくりと神楽が顔を出す。
「もう帰ったから、出てきなせェ」
「……うん」
返事をした神楽に、沖田は自分の財布を渡した。
「三階の店に、確か簡単な着替えセットがあったはずだから、行ってこい。その間、適当にルームサービス頼んどから」
「うん」
何から何まで、結局沖田に頼らなきゃいけなくて、神楽は、頷くことしかできない。
沖田の部屋を出て、言われたとおりに三階で降りると、着替えセットを買った。
部屋に戻ると、沖田が浴室に居たので、テレビをつけて時間を潰していると、部屋のノックがして、ルームサービスが届いた。

神楽の目の前には、出来立ての食事がある。バスルームに居る沖田に声をかけると、先に食べてて構わないといわれた。
それに従うように、箸を持つと、料理を口の中に入れた。
(こんなに、ご飯がおいしくないなんて、久しぶりアル)

沖田が浴室から出ると、神楽が立っていた。
「神楽?」
手にバックを持っている神楽の様子がおかしいのはすぐに気づいたようだった。
「やっぱり、……帰るアル」

苦笑いをする神楽は、そのまま言葉を残し、沖田に背をむけて、ドアに向かおうとした。
けれど、すぐに沖田が回りこむと、それを止めた。
「駄目だ」
沖田の言葉に、もう決めたんだと神楽は首を振った。
「明日、またあの娘と帰らなきゃいけないアル」
「駄目だっつってんだろィ!」
部屋に響いた沖田の声に、神楽の小さな体はビクリと震えた。
「とにかく帰さねえぜ」
神楽の手をつかむと、荷物と一緒に浴室に閉じ込めた。
「沖田」
内側から呼んでも、返事がないどころが、ドアはピクとも動かなかった。
しばらくして、観念した神楽はお風呂に入っていった。

ゆっくりと神楽の体が浴室に入っていく。

高校を卒業して、それまでの日常がガラリと変わってく事に、もう慣れたと思ってたのに……。
大学で沖田が勉強する姿を見て、いつも格好いいなと思う反面、自分からどんどんと遠くなっていくような気がした。
また子みたいに、高杉の仕事を手伝うこともあれば、一緒にいられる時間もあるだろうけれど、高校の時のように、いつだってあいたいと思ってみても、なかなかそれを行動に移すような事はできなくなっていった。
大学の時間と、バイトの時間、合う時もあれば、なかなか合わない時もある。

(私も大学に入ればよかったアル)
そう何度思ったか分からない。

浴室からでた神楽が出てくると、脱衣所には、神楽の買ってきた着替えセットが置いてあった。
着替えて出てくると、沖田はテレビを見ながら食事をしていた。
「あ、朝一番で、ちゃんと帰るネ。そしたら、沖田もあの娘と一緒に帰れるア――」
手を引かれたと思えば、背中にあるのはベットだった。
すぐ近くにある沖田の顔に、思わず喉を鳴らす。
「何も、学習しねえのかィ、オメーは」
「あ、朝になればちゃんと――」
「全くもって、信用ならねえ」
沖田の言葉に、思わず言葉を失う。
「じゃあ、どうすればいいアルカ?! 私が帰らなきゃ、あの娘に見つかってしまうア――っ」
最後まで吐くまでもなく、沖田に口を塞がれた。
「んぅ……っ」
噛み付くようなキスをされた後、まだ沖田の顔はすぐ近くにあった。
「あの娘、あの娘って、やたら煩いんでさァ」

(だって……あの娘はお前の事が好きアル)
胸の中で、吐き出せない神楽の声が、瞳を潤ませる。
「いいか、よく聞きやがれ。俺は目の前のモンしか目に入ってねえんだ」
沖田は神楽を見下ろす。けれどその顔は、まだ納得している顔じゃなかった。
そんな神楽に、分からせるように、神楽の首筋に噛み付いた。
甘い熱は、神楽の体をあっと言うまに溺れさせる。
「ず、ずるいアルっ」
沖田の事が好きでたまらない自分が拒めないのを知っている癖に……。
沖田は、落としていた熱から離れると、もう一度神楽の顔を見下ろした。
「その台詞、そっくりそのまま返してやらァ」
「なっ!意味が分からな――っんぅ――!」
言われた意味が全然分からないのに、沖田の指先は、するりと神楽の服の中に入っていった。
どんなに言いつけても言う事を聞かないくせに、それを分からそうとすると反発して離れていく神楽。
でもどんなに言われたって、この腕の中から手放すつもりもない。
「だから、こうして分からせるしかねえだろィ」
沖田の緋色の瞳が、神楽を映し出す。

この瞳だ。
(こいつのこんな瞳に見つめられたら、もう駄目アル)
反発していた神楽は、その瞳にゆっくりと落ちていった。


・・・To Be Continued・・・・・
Category: 彼氏 卒業編
Published on: Mon,  20 2017 19:25
  • Comment: 4
  • Trackback: 0

4 Comments

-  

pixivで「彼氏」を拝読して、こちらに伺い続きすべて読ませて頂きました。
更新楽しみにしています!

2017/03/03 (Fri) 19:05 | REPLY |   

ツンデレ  

Re: タイトルなし

コメントありがとうございます!!
ピクシブでは、更新が追いつかなくて、こちらに流れてくださる方が沢山いらっしゃるので、申し訳ない気持ちでいっぱいですが、コチラ側で、オリジナルと平行しながら、仕事の合間には、なってくるんですが、ちまちま更新してますので、ぜひ、お待ち頂ければと思います^^♪

彼氏も、次の物を用意はしてますので、また更新出来るよう頑張りますね!
ありがとうございます★

2017/03/04 (Sat) 14:56 | REPLY |   

亜実  

ツンデレ様の作品とっても好きです!!全部見ました!
今回の作品もとっても良かったです!!

2017/03/18 (Sat) 09:04 | EDIT | REPLY |   

ツンデレ  

Re: タイトルなし

亜美様コメントありがとうございます!!

次の更新はオリジナルの方をするつもりなので、その次になりますが、彼氏 卒業編も更新がんばりますね♪
楽しみにしてくれている方がいらしゃるので、私も創作意欲がわきまくりです^^
またのコメント、いつでもお待ちしておりますので、よろしくお願いします!

2017/03/18 (Sat) 09:43 | REPLY |   

Post a comment