彼氏 卒業編 15

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イラスト/菌うさぎ


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↓↓↓↓↓↓↓↓ 朝、起きると隣には沖田が居た。
「ちゃんと、居たアル」
もしかしたら、居なくなってしまうんじゃないかって、夜中に何度も起きた。
その度、隣に居る事を確認した。
安心した神楽は、起き上がると、肌蹴た服を整えベットから降りると自分の服を来た。

昨夜、沖田はああ言ったけれど、やっぱり自分が帰らないと行けないのは分かってる。
窓の外は、晴天で、もう迷う事もないだろう。
荷物をまとめると、寝ている沖田の顔をもう一度見下ろした。

「ありがとう、私は先に帰るアル」
けれど、寝ていたはずの沖田に手を掴まれ、神楽は驚いてしまった。
「駄目だ」
「――お前、起きていたアルカ」
神楽の言葉に返答しないまま沖田は起き上がるとベットを降りた。
すると服を着替えて、出る準備をし始めた。
沖田の言葉を無視する事も出来ずに、神楽は座ったまま、準備が整うまで待つハメになってしまった。しばらくして、準備が整った沖田は、神楽に視線をやった。
「出るぞ」
沖田の言葉に続くように神楽は部屋を出る。
「私、一人で帰れるアル、もう大丈夫ヨ」
けれど沖田は、神楽の言う事を聞いてないようなそぶりをみせたまま、携帯を取り出した。
仕方なく黙った神楽をそのままに、沖田は、繋がった先と通話を始めた。
「もしもし。悪いが急用が入っちまいやした。俺は先に帰るんで、頃合見計らって、チェックアウトしてくだせェ」
相手は、桜井 沙良だろう。あれだけもやもやと神楽だったが、沖田にしてみれば、電話一本で解決できる問題だった。
沖田は、通話を終了させると、神楽とエレベーターに乗り込んだ。
「いいアルカ?」
「何が」
「あの娘アル、一人で帰させて」
「オメーみてえに、馬鹿じゃねえんだ。心配すんじゃねえ」
当たっているだけに、言いかえせない神楽。するとエレベーターが一階に到着したベルを鳴らした。
「腹減ったな」
「えっ? あ、うん」
「チェックアウト済ませたら、この先にあるレストランで飯食おうぜ」
「え……」
沖田の言っているレストランが、何処を指しているのか、神楽にはすぐ分かった。
(あのレストラン……)
沖田とあの娘が、入ったレストラン、それだけで、行くのを拒む足を、神楽はゆっくりと前に進めた。

(やっぱり此処アル)
着いた先は、あの時、店の前で待っていたレストランで間違いなかった。
「ほら、入るぜ」
沖田の言葉に、神楽の足は進まない。
胸の中に、どうしてあの娘と入ったレストランで食べなくちゃいけないんだと言う思いが渦巻いた。
「何してんでィ」
ずっと、寒かった。手も足も顔も凍えて、それでも、足が動いちゃだめだと思った、つい昨日の事を思いだした。
様子がおかしい神楽の事を、沖田は、すぐに感づいた様だった。

「オメー。昨日、いつから居やがった」
「えっ、いつって……」
「いつから俺を尾行してやがったんでィ」
「き、休憩でお前が出て来た時からアル」
どうせ、こんな所でついた嘘なんか、すぐに見破られてしまう、そう思った神楽は素直に白状した。
「まさか――、ずっと待ってたのかよ」
この気温の寒いなか、知らない街で、ただひたすら食事を終え、ここから出てくるのを――。
沖田の言葉に、神楽はウンと頷いた。
沖田は、神楽の言葉に絶句したように息を吐いた。
ここで、待つくらいだ。おそらく休憩が終わって二回目の講義が始まって終わるまでの時も、待っていたに違いない。
ただ、ただ自分の姿だけを頼りに、ずっと、ずっと待ち続けて……。

「何してんでェ、オメーは……」
呆れるような声色を出した癖に、沖田の腕は神楽を抱きしめていた。
「何って……」
(お前を待ってたアル)
抱きしめてくる沖田のおかげで、昨日の様に外は寒いのに、体は全然寒くなかった。
「寒かったろィ」
「うん」
「馬鹿やろうでィ」
「凍えて死にそうだったアル」
抱きしめられている温もりが身にしみる。あの時、一人で待っていた自分が、この一瞬の沖田の温もりで、全て報われた気がした。

沖田は、もう一度神楽の頭上でため息を吐いた様な気がした。
抱きしめていた体を離すと、手を繋ぎ直した。

「はあ――、何処で飯食っかねぇ」
そう言うと沖田は、レストランに入るのをやめ、神楽を車に乗せる事にした。

車に乗ってから、数キロ行った所で、小さなカフェが目に入った。
「沖田、あそこがいいネ」
神楽の言葉に促されるように、その駐車場に入った沖田。
車から降りて、中に入ろうとすると、思わぬ人物に会ってしまったのだ。

「あれ? 神楽ちゃんじゃないッスか?」
聞き覚えのある声に振り向くと、そこには、また子が居た――。

「おい、邪魔だ、退け」
神楽の後ろの方から歩いていた沖田の背中にも同じくしてかけられた声は、聞き覚えのあるものだった。
振り向いた沖田は、その顔を見るなり口を開いた。
「なんで朝っぱらからお前に会わなきゃならねえんでィ」
嫌な奴に会ったもんだ。向かい合わせになった二人は、同じくしてそう思った。

少し前を歩いていた神楽とまた子を見てみれば、もうすでに中にと入っている。
そしてちゃっかり四人がけのソファに腰を下ろして居た。

「どうしたんスか、神楽ちゃん、こんな所で会うなんて」
また子に聞かれた神楽は、また子の耳に、小声で話し始めた。
「尾行っ!?」
「シーっ、静かにするアル」
「尾行って……、またそんな事したんスかァ」
神楽のこの手の話は、これが始めてじゃない。けれどこんな所まで来て、そんな話に出くわすなんて思ってもみなかったまた子は、呆れ顔で神楽を見ていた。
「だって……」
「あー、はいはい、分かってますよ」
この話ときたら、次に来るのはいい訳だ。みなまで言うなと、会話を阻止する。
「また子はどうしたアル」
「朝一で、届けなきゃならない書類があるって言うからついてきたんスよ」
「そうアルカ」
また子のこの行動力には、毎度毎度驚くばかりだ。
いくら高杉に、邪険にされようと、全くめげずに自分の欲求を高杉に求めてくる。
あの口数が少ない高杉には、また子くらいのテンションが丁度いい。だから二人は上手い具合に合わさっているんだろう。
「また子がうらやましいアル」
「そうッスか?」
また子からすれば、神楽の方がずっと羨ましいと思っている。
天邪鬼の神楽は、いつだって大騒ぎしては空回りするくせに、沖田のお陰で、いつだってまとまっている。
なのに、神楽はいつだって沖田からの一心な思いを注がれている。
「それより、この後、何か予定あるんスか?」
「えっ、私は別にないアル。ここでご飯食べて、帰る予定ネ」
すると、今度はまた子が神楽方へと耳打ちをしはじめた。
「この辺りに、いい水族館があるっスよ」
その話を聞いた神楽の目がキラリと輝いた。
「行きたいアル!」
神楽の反応は、思ってた通りとばかりにまた子の瞳も、キラリと光った。

そして、まもなくテーブルについた沖田と高杉に、またもや、騒動の発端となる言葉が落とされるまで、後僅かの事だった。



・・・To Be Continued・・・・・
Category: 彼氏 卒業編
Published on: Fri,  24 2017 19:14
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