彼氏  卒業編 16

保存
イラスト/ シロマイナスクロ yunata



読者の皆様
いつも読んでくださってありがとうございます☆

続きを読まれる方は
ぜひ、コチラからどうぞ
↓↓↓↓↓↓↓↓ どうして4人一緒にこの席に座っているんだとか、どうして真向かいにお前の顔があるんだとか、沖田と高杉は色々といいたい事があるけれども、もう口に出すのも面倒だと言う表情をしながら、お互いに無視を決め込んでいる。

「ね、この近くに水族館があるって、私行きたいアル」
昨日の事もあるゆえ、神楽の要望を聞いてやるつもりだった沖田だったけれど、このままの流れで行くと、面子の先が見えている。
「晋助様、ここの水族館最近リニューアルしたばかりみたいで、色んな魚がいるらしいッス」
同じくして、高杉もこのままの流れに乗るのはごめんだとばかりに、返答してくれない。

店員が持ってきた朝食に口をつけはじめた、そのそぶりを見た神楽とまた子は、その様子を見ては落ち込んでしまう。
こうなった沖田達の意見を変更させるのは至難の業だからだ。
あんまりしつこく言ったともんなら、彼らの逆鱗にふれる事は目に見えている。
本音を言ってしまえば、デートスポットに行きたいけれど、二人でいれればそれだけで十分だと思う気持ちもそこにはある。
だから、神楽とまた子は、あきらめた様に箸を取った。

朝食がすむと、沖田は席を立った。
「ほら、行くぞ」
「あ、うん」
沖田は既に席を立ち、会計に向かっている。
神楽が、また子に軽く手をあげると沖田の背中に付いて行ってしまった。

沖田と二人して車に乗ると、その車は動きだした。
するとすぐに沖田はカーナビに行き先を設定しだしたのだ。
神楽は、自分の目を疑う。その液晶に記されている行き先は、ついさっき諦めた水族館の名前があったのだ。
「行ってくれるアルカ?」
神楽の視線は期待が込められている。てっきり行ってくれないんだろうと思っていたのに。
「アイツと行動を共にするのはごめんでィ」
沖田が一体誰の事を言っていることくらい神楽にも分かった。
そしてハンドルを握って、カーナビの指示の通りに車を発進させた。
「沖田、大好きアルっ!!」
「ばっ、危なねえだろィ」
神楽が抱きついてきたせいで、危うくハンドル操作を誤ってしまいそうになる沖田は慌ててしまった。

店の中に取り残されてしまった高杉とまた子も、会計を終わらすと車に乗り込んでいた。
あまり我侭を言い過ぎると、本当に高杉の機嫌をそこねてしまう事をちゃんと知っているまた子は、いつもの様に振舞っていた。
帰ってから、自分に出来る仕事があるかどうだとか、今日はどんな仕事が残っているんだとか。そんな他愛もない話を。
けれど、車の発進させた方向を見るとまた子は思わず疑問を高杉に言ってしまう。

「帰る道って、こっちだったスか?」
確か、真っ直ぐな様な気がするけれど、高杉が走っているのは、右にそれた道だった。
けれどまた子はすぐに気づいたようだった。この車が何処に向かって行っているのか、付く先は何処なのか……。
「晋助様っ、もしかして―――っ」
「煩い、黙れ。車から降ろすぞ」
ぴしゃりと高杉に牽制されてしまったけれど、この車は間違いなく水族館に向かっているのは間違いなかった。
流行る気持ちを抑え、嬉しいと思わず声に出してしまいそうなのを必死に我慢すると、また子は嬉しそうに車の窓を開けた。
すると心地よい、風がまた子の頬に当たり、車の中にと入りこんできた。

神楽を乗せた車は、水族館にと到着していた。
大きな水族館を目の前にして神楽は、一気にテンションが上がる。堂々と貼られているポスターには、これから見るであろう水族間の中にいる魚達の写真が掲げられている。
「うわっ、シャチもいるアルっ」
神楽は沖田の袖をくいくいっと引っ張る。
「分かったから、そんなにひっぱんな」
はしゃぐ神楽を目の辺りにして、沖田は嬉しそうな表情をさせている。
二人は、チケットを二枚買うと、水族館の中にと入っていった。

時少し遅しくして、高杉の車が駐車場にと止まった。
また子は嬉しくて、車が停車するなり車を降りた。目の前には、見上げるほどの大きな建物が建っている。
「晋助様っ!早く早く!」
また子は、高杉が降りた側から腕を持つと、中にと引っ張っていった。
中に入ると、また子はまだ生物一匹たりとも居ないのに、周りをぐるりと見渡し感動しているようだった。
その様子を傍目に、高杉は二枚チケットを買った。

「行くぞ」
高杉の声を聞いたまた子は、笑顔で振り向いた。

視界前面に広がる水族館の世界を見た神楽は、思わず驚きの声を出してしまう。
「凄い……」
なんて、綺麗なんだろうと思った。日常生活ではまずお目にかかる事の出来ない圧倒的な世界に神楽はうっとりとしてしまう。
「また子にも、見せたかったアル」
教えてくれたのは、また子だ。でもあの高杉相手に、今頃車の中で帰っていると思ったら、なんだか居た堪れない気持ちになるけれど、二人の間の事をあーだこーだと口を出しちゃいけない事くらい分かっている。だからと思った神楽は、携帯を取り出すと、カメラを起動させた。
(また子に送ってあげるアル)
どの魚がいいだろうか……そんな事を思いながら神楽はレンズを動かすと、ふとその視界に入ったものがあった。
(高杉アル……)
神楽のレンズの向こう側には、確かに高杉が映っていた。そしてそこから少し動かすとまた子の姿も入った。
「来てたアルカ」
神楽は、ほっと安心した様だった。
もしかしたら最初から高杉はここに連れてくるつもりだったんじゃなかったんだろうかと、神楽はふと思った。
沖田にしろ、高杉にしろ、あまり仲良くつるむような性格はしてないし、そもそもせっかくの二人の時間を邪魔されたくなかったんじゃないのか?
「オイ、あっちに行こうぜ」
「えっ、だ、駄目アルっ、私はこっちの方から見たいアルっ」
沖田の進む先には高杉がいる。そう思った神楽は沖田の体を反転させると違うルートに行こうと言った。
「でも、オメーがシャチ見たいって――」
「シャチは最後がいいアル!まずは他の魚から見て回りたいネ」
神楽は、問答無用で沖田の腕をひっぱると、高杉の方から遠ざけた。

「晋助様!シャチ!シャチが泳いでるッスよ!」
大きすぎる水槽の中では、ゆうゆうとシャチが泳いでいる。
また子に言われる様に、高杉もシャチを見上げている。
「クールで、頭よくって、晋助様みたいッス」
シャチは頭がいい上に、ビジュアルもかっこいい。それを見たまた子は高杉と思わず重ねてしまい口にしたのだ。
そのまた子の言葉を聞いた高杉は、少し考えた後視線を別の方に移した。
「あそこに、お前がいるじゃねえか」
高杉に言われた通りにまた子が、そちらの方を見てみると見るもぶさいくな魚がいた。
「な、なんスかっ!この魚はっ」
そんなまた子の表情をみた高杉は、笑いながら場所を移動するように歩いて行く。

「ねえ、沖田喉渇かないアルカ?」
「あー、何か飲むか?」
「うん」
広い水族館の中にあるいくつかの休憩ポイントの中の一つに沖田と神楽は居た。
自販機でドリンクを買うと、二人がけの席にと腰を下ろした。
すると沖田のポケットから携帯の着信音が聞こえた。
その表示を見ると、沖田は席を立ち上がった。
「ちょっと待ってろ」
「うん」
神楽の女の感が働き、こう言った。あの娘からだと。
ジュースに口をつけながら考えてみるけれど、したところでどうにかなるもんでもなかった。
どんなに嫌でもまさか縁を切れなんて言う事を出来るはずもない。

口に出してあえて言う事はないけれど、感情の中でいつだって沖田を束縛している事を神楽は自覚している。
だったら多少の我慢は必要な事くらい分かっている。
「そんな事、分かってるアル――」
沖田が戻ってきたのを確認すると、神楽はシャチを見に行こうと腰を上げた。

ぐるっと円形状になっている水族館を、神楽はまた子達とすれ違う事なく一通り見て回った。
そして最後に行き着いたのは、神楽の目当てであるシャチの水槽だった。
神楽が想像してたよりずっと広い水槽は、圧巻だった。
その中をゆうゆうと泳いでいるシャチ。
(自由そうで、けっして自由じゃないアルナ)
食べ物には困らないし、捕食される心配もないけれど、そこには自由がない。

神楽は、水槽を見上げている沖田にと視線をやる。
(けっして、手のなかに収まってくれない事くらい、分かってるアル)
それでも側に居てほしい。自分だけを見て欲しいと思うのは、わがままなんだろうか……。
「オイ」
「な、なにヨ」
「俺の顔じゃなくて、シャチの方を見ろ」
「わ、分かってるアルっ」
誤魔化すように、神楽は泳ぐシャチを視線で追った。
「お前も、本当はもっと自由がいいアルカ?」

その言葉はシャチに向けているのか、沖田に向けた言葉なのか、自分でもよく分からなかった。

・・・To Be Continued・・・・・
Category: 彼氏 卒業編
Published on: Fri,  07 2017 09:46
  • Comment: 2
  • Trackback: 0

2 Comments

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/04/10 (Mon) 00:12 | REPLY |   

ツンデレ  

Re: 誤字

こんにちは^^
本当ですね!! 気づきませんでした!
まどろ様のおかげで気づくことが出来ました。ありがとうございます^^

このお話は見直して直してみました。
他のもちまちま直して行きます♪

ちょっと前に、ドラマで校閲ガールってのを見てたんですが、
まどろ様はまさに、校閲ガールですね^^

更新頻度がなかなかですが、頑張りますので、またよろしくお願いします!!

2017/04/10 (Mon) 16:12 | REPLY |   

Post a comment