彼氏 卒業編 17

271.jpg
イラスト/ 菌うさぎ



読者の皆様
いつも読んでくださってありがとうございます☆

続きを読まれる方は
ぜひ、コチラからどうぞ
↓↓↓↓↓↓↓↓ 帰り道、神楽はさっきの電話の事が気になっていた。
沖田はあれからも何も言わない。でもそれは、くだらない事を気にする自分に、これ以上変な心配をさせないと思うからこそなんだと思っているからなんて事は分かる。

沖田の車が見覚えのあるいつもの街並みに入った頃、沖田の口が開いた。
「どうする?お前ン家に送って行こうか」
多分、この後沖田はこの足でそのまま大学に戻るんだろうと察しがついた神楽は、頷いた。

車が神楽の家の前に着くと、神楽は車から降りた。
「ありがとう」
神楽は、沖田に向かって笑って見せた。
沖田がそう思ってくれてるんだから、これ以上自分も心配をかけちゃいけない。
去っていく沖田の車を見送りながら、神楽は手を振ったあと、部屋の中にと入って行った。

ベットの上に転がる神楽は、水族館の中で思わず自分の口から出た言葉をまた思い出していた。
(このままじゃ良くないアル)
こんな気持ち、沖田にも失礼だなんて事は分かっている。
でも理屈じゃどうにもならない事も……。
自分の気持ちに嘘はつけないけれど、それを沖田に悟られない様にする事くらいは出来るかもしれない。
(ううん、そうしなきゃいけないネ)
そうじゃないと、沖田はいつも自分の事を信じてもらってないと思うだろう。これが逆だったら、自分だってそんなの耐えられない。
だから、この気持ちは、あくまで自分の中でだけでおさめたらいい。
そう神楽は、そっと眼をとじた。

それから何日か、神楽はいつもと同じような日常を送っていた。
コンビニのバイトのレジうちをしていると、店内にまた子とミツバが入ってきた。
今日が神楽のバイトの日だと言う事も、あともう少しで上がりの時間だと言う事も二人は知っているからこの場所に来たのだ。

まもなくバイトを終えた神楽は、二人と一緒にミツバ宅へと向かった。
二人がテーブルに腰を落ち着かしている間に、ミツバはキッチンへと立った。神楽が来た時のためにと予め買って置いたお菓子を皿の上に置き、ジュースを注いでいる。

「あれから、沖田さんとどうなったんスか?」
また子の質問に、神楽は別に普通だと答えた。
「またまた~、普通って事はないッスよ、普通って事は。尾行までしといて」
また子が神楽に突っ込んで話を探ろうとしていると、ミツバがテーブルの上に持ってきたお茶セットを置いた。
二人と同じように、ミツバが腰を下ろすと神楽の顔をじっと見つめるそぶりを見せた。
その視線に気づいた神楽は、首をかしげた。
「ミツバ姉、どうしたアル」
「神楽ちゃん、最近ちゃんと食事取ってる?」
思っても見なかったミツバの言葉に神楽は面食らってしまった。
「なに言ってるんスか、神楽ちゃんに限ってそんな事」
呆れたものいいでまた子はミツバがそうした様に神楽の顔を覗き込んだ。
そんな事あるはず無いと思いながらも、未来の看護師のミツバの言葉を邪険には出来ない。
「最近、体調悪いんじゃない?」
「べ、別に……そんな事ないアル」
神楽の言葉を信じてないわけじゃないけれど、明らかに一瞬動揺してみせたのをミツバは心配そうに見つめる。
「もし体調悪いなら、早めに病院に行かなきゃ駄目よ」
心配するミツバに、神楽は大きく頷くと安心したようにミツバは笑った。

夕方までミツバの家で過ごしていると、ミツバの家のチャイムが鳴った。
「十四郎さんだわ、すぐすむからちょっと待っててね」
何か用事があるのか玄関の方に向かうミツバ。するとまもなく土方の声が聞こえた。
土方はすぐに見覚えのない女物の靴を見つける。
「何だ、誰か来てるのか」
およその見当はついているけれど、それが確かかは分からなかったから聞いた土方にミツバは頷きながら答える。
「またちゃんと、神楽ちゃんが来てるの」
また子の顔はちょくちょくと見ているものの、そういえば、最近神楽の顔を見ていないと思った土方は、そのまま靴を脱ぐとリビングにと向かった。
「よう」
言葉は二人に向けた言葉だが、その視線は久しぶりに見た神楽の方へと注がれていた。
「よう、トッシー」
本当はあがるつもりはなかったけれど、どうせ上がったんだからと土方は胸ポケットからタバコを出すと、火をつけた。
「最近どうだ」
そんな質問をすれば、いつも神楽は頬を膨らまして沖田の不満を土方にぶつけてくるのが定番だ。
だから、そのつもりで神楽の言葉を待っていたつもりだった。
けれど神楽が口を開くまえに、また子の方が話しはじめてしまった。
「何か最近、沖田さんの大学で沖田さんにちょっかいかけてくる女子がいて、神楽ちゃんってば――」
「別に、うまく行ってるアル」
また子が、しゃべっている最中に、神楽はそれをさえぎるように終わらした。
「何だ、またあいつと何かあったのか」
何かあるのもいつもの事だと呆れながら、神楽の不満を聞き出そうとするそぶりを見せる土方だが、神楽は首を横に振った。
「全然、何もないネ」
言葉とちぐはぐさを見せるように、神楽の手は、ぎゅっと下腹部辺りを掴んでいた。
「腹でも痛いのか?」
土方の言葉に、神楽はその手をパッと離すといいわけをする様に口を開いた。
「ぜーんぜん、どこも痛くなんかないアル」
土方にそう言った神楽は、自分の荷物を手にとった。
「ちょっと用事を思いだしたから、今日はこれで帰るアル」
「え、あっ、ちょっと神楽ちゃん――」
また子の声を待つこともないまま、神楽はミツバの部屋から出て行ってしまった。

土方の言葉を聞いて、思わず神楽はひやっとしてしまった。
最近、もっと正確に言えば沖田と帰ってきたあの日から、なぜか身体がおかしい。


(痛っ……)
どこも悪くないはずなのに、胃がキリキリと痛んだ。
(早く家に帰るアル)
きっと少し寝たら落ち着くだろう。いつもそうしていたら、おさまってくるのは分かっている。神楽は、そう歩き出す。すると神楽の横にピタリと車が着いた。
それは沖田の車だった。
「バイトの帰りか?」
「……うん」
「送ってやるから乗ってけよ」
少しでも歩かなくてもすむと神楽は思い、沖田の車に乗り込んだ。
「大学の帰りアルカ?」
「いや、まだ終わってねえ。レポートで一日中缶詰状態でさァ」
「そう」
たわいもない、話をしているのに、胃がどんどんと痛くなってくるような気がしてくる神楽。
沖田の車が、信号待ちで停止する。
「お前、大丈夫か?」
神楽の頭には、冷や汗が浮き上がっていた。
「何言ってるアル、全然平気ネ」
神楽は、沖田の前で、笑って見せる。
沖田の手が神楽のおでこに触れ、それを拭おうとする。
けれど、沖田の携帯が鳴った。
触れようとした手は、神楽から離れて携帯を手に取る。けれどその着信を保留扱いにした沖田。
信号は青にと変わり、また出発していく。
神楽の家に到着すると、神楽は車から降りた。

「送ってくれてありがとうアル」
「それはいいが、体調悪いならちゃんと寝ろよ」
「大丈夫だって言ってるアル」
神楽は、笑いながら沖田に早く行けと手をひらひらとさせる。沖田の車は去っていく車を見送る。

そして沖田の車が完全に見えなくなるとホッとした様に、息をついた。
もう沖田の前であんな感情を見せたくない。

自分の世界があるように、沖田にもちゃんと世界がある。そこには境界線があって簡単に踏み入れたらいけない事で、我慢すればだんだんと自分の中で納得も出来る。
あの日、閉じた瞳の中でそう決めたんだと……。
(だからこれでいいアル)
なのに、反発するようにどんどんと胃が痛くなる。まるで、それは自分の中の自分が泣いているようだった。


・・・To Be Continued・・・・・
Category: 彼氏 卒業編
Published on: Fri,  21 2017 09:19
  • Comment: 2
  • Trackback: 0

2 Comments

まさこ  

こんにちわ〜
ツンデレさんの沖神の小説はどれも素敵すぎて、何度も読み返しています!!
この彼氏 卒業編もとても大好きですので、沖田と神楽がお互いに強く想い合っているのがすごく伝わってきます!!
これからも、素敵な小説を楽しみにしておりますね〜〜^____^

2017/04/22 (Sat) 03:12 | REPLY |   

ツンデレ  

Re: タイトルなし

こんばんは^^
いつも小説をご覧くださりとても嬉しいです!!
本当はもっともっと更新を頑張りたいところですが、気持ちが技量に追いつけなくてすいませんっ。

彼氏 卒業編もまだまだ波乱が起こりそうな予感がしますが更新頑張ります!!^^
私も沖神を創作するのが楽しく、大好きですi-80

また、お時間できた時はいつでもブログでお待ちしております^^

2017/04/23 (Sun) 21:35 | REPLY |   

Post a comment