彼氏 卒業編 23

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イラスト/シロマイナスクロ




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沙良と分かれた二人は、広がるイルミネーションの世界感を身近に味わっていた。
もうとっくにクリスマスは終わってしまったのに、まだここにはその名残がある。辺りは真っ暗なはずなのに、ここだけ切り取られたように光りの世界が広がっている。その輝きに感動していた神楽だが、その隣で、予想以上だったとばかりに沖田も見入っていた。

「すっごい綺麗アルナ」
神楽の口から自然の出てきた言葉は、神楽が感動しているなによりの証だった。
光りに見入る神楽をすぐ隣でみていた沖田は、なんだかんだ言ってもやっぱり連れてきて良かったと思っていた。

「また子や、皆にも見せたかったアル」
視界に映りこんでくる光景を見ながら、神楽はそう口を開く。
「俺はごめんでさァ」
沖田が憎まれ口をたたくも、その瞳はいつもよりも優しい。いつものメンバーが集まるという事は、今の様に二人ではいられない。きっと騒がしいくらいなのに、この光景を二人で見るのはなんだかもったいない気がするのも本当だった。歩きながらも、二人はたわいもない話をする。
「難しい論文は、終わったアルカ?」
「ああ、やっと片がつきやした」
沖田は思いだしたように、肩をならした。すると神楽は歩いていた足をとめ沖田の方へと向き直った。
「じゃあ、もっと沢山一緒に居られるアル?」
イルミネーションの中で、神楽は沖田の方を見上げる。それは期待まじりにも見えるが、不安そうにも見えた。
すると、沖田はその手をそっと神楽の背にと伸ばした。
「そんなに俺と一緒に居たいですかィ?」
意地悪な応えをなげかえしてくるくせに、その腕の中から逃げ出す事を許さないとでも言うように、神楽を抱きしめている。
一瞬、神楽はどうかえそうかと悩むように、口をとがらせた。
YESと言えば、きっとこの男は調子に乗ることは分かっている。けれど先に投げかけたのは自分であってNOなんて言葉がかえせるわけもないのだ。
だから沖田の背にまわした手できゅっとその服を掴んだ。
「うるさいネ……。分かってる癖に」
思わず出てきた神楽の言葉に、沖田は一瞬面食らってしまった。
せいぜい噛み付いてくるだろうと思ってたのに、神楽は以外な所でデレ爆弾を投下してくる。なんの心の準備もしていないところに落としてくるもんだから、決まってこういうとき沖田は心をかき乱される。抱きしめている手で、感情を隠すようにうなじをかいてみるけれど、そんな沖田の様子をやっぱり不安だと言うように神楽は見上げていた。

すると沖田は神楽の分厚いマフラーをかるく持ち上げると、その隠れた口元に熱を落とした。
一瞬の事に今度は神楽が面食らったようで、その瞳を大きくさせた。けれどそのすぐ後に落とされた沖田からの言葉に神楽は雪の中頬を淡くそめあげた。

「ここが外でよかったな」
「え、何でアル」
「外じゃなきゃ、俺に食われてやすぜ」



沖田と二人でイルミネーションを一通り観て終わる頃には、来たときには賑わっていた人の数も自然に減っていた。あれだけ混んでいたレストランも外からみてもゆったりと時間が流れている。あれだけ光り輝いていたイルミネーションも役目を終えたとばかりにあちらこちらと明かりが消えていく。
「どうする?もう帰るか?」
手も顔も鼻も冷たい。沖田と一緒だから平気だったけれど、これが他の誰かとだったならきっとすぐに温かい部屋の温もりをもとめているに違いない。
神楽は、沖田の言葉に鼻を赤くしながらゆっくりとうなずいた。
きっとこの後はそのまま沖田の部屋に泊まるパターンに違いなかった。神楽もそれを分かった上でうなずいた。
「今、何時アルカ?」
神楽の何気ないひとことに、沖田は携帯を取り出し時間を確認しようとした時、同じタイミングでコール音が鳴った。
沙良からの着信なのは見ればすぐに分かった。それだけで嫌な予感しかしないのに、出ないでなんてそんな心が狭いような台詞をはけるはずもないけれど、沖田が自分に遠慮しているのはわかった。
「いいから、早く出るヨロシ」
神楽は笑って電話に出るように促した。

沖田は面倒そうにしながらも、その着信をとった。沙良と沖田はしばらく電話でのやりとりをしていた。沙良の会話の内容は聞こえないけれど、沖田の吐き出す言葉でなんとなく二人の会話文が汲み取る事ができた。
「は?何処でさァ」
沖田はさらに面倒そうにしながらも沙良との会話を続けている。話の流れで分かったのは、どうやらイルミネーションの点灯が終わったおかげで辺りが暗くなった事。
なんで俺がとの台詞が出てきているのを見ると、沖田に迎えに来て欲しいと言っている様子だった。そして沙良は現在迷っているらしい事。慣れない土地で、土地勘がないのは誰もが同じ事であって、そんな人を目の前にした沖田がどんな選択をするのかは神楽にも分かっていた。
「分かった、動かずそこで待ってろ」
通話を終了させた沖田は、神楽の表情をみると髪をくしゃりとさせた。
「悪い、さっきのレストランで待ってろ。すぐ戻ってくるから」
本当は、一緒に行きたい気持ちも神楽の中にあった。沙良と二人きりなんかにさせたくない、気持ちの中では、納得できない自分がいたけれど、この状況を目の前に首を横にふることなんて出来ない。だから神楽はゆっくりと頷いた。

レストランに入ると、冷たくなっていた身体がいっきに温もりに包まれていく。いくらでも空いている席のひとつに神楽は座ると、あたたかいココアを注文した。
沙良は困っているんだ、なのに沖田を行かせたくないと思った自分がいたのは確かな事だった。
(――自分が嫌になるネ)
気がつけばため息がでる神楽。でもこんな場所で一人で待って、嫌な事ばかり浮かんでくる頭の中を消すのは無理だった。
だから少しでも気を紛らわそうと神楽は携帯を手にとった。お妙でもまた子でも、ミツバでも誰かに話しているだけで気が紛れる。「……駄目アル」
今電話をかけてしまえば、皆に心配をかけてしまう。自分の口から出てくるのは、きっとネガティブの言葉に決まってる。そう思ったら、触れた指先を離した。
(あいつが待ってろって行ってたアル。だから信じてればいいネ)
時計の針を見ながら、神楽は何度だって自分に言い聞かせた。

・・・To Be Continued・・・・・


Category: 彼氏 卒業編
Published on: Fri,  25 2017 15:09
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