彼氏 卒業編 24

271.jpg
イラスト/ 菌うさぎ

読者の皆様
いつも読んでくださってありがとうございます☆

続きを読まれる方は
ぜひ、コチラからどうぞ
↓↓↓↓↓↓↓↓
神楽の手の中にあるココアが冷める頃、沖田からラインが届いた。そこには沙良を無事に見つけた事、これから皆と合流してこっちに帰ってくると言うことが記されていた。
(良かったアル)
ホッとした表情をさせた神楽は、冷めたドリンクを喉の奥に流し込んだ。

空になったカップの底を覗き込みながら、沖田が帰ってくるのを待っていると、暗闇の中から沖田達を含めた人の影がちらほらと帰ってきた。神楽はそれを窓越しにみている。話している会話が耳にとどくことはないけれど、沙良が無事に帰ってきたことをみんなで喜んでいる雰囲気は、音をきかなくても神楽に伝わることが出来た。
そこは、どんなに神楽がはいって行こうとしたところで、入れない場所だという事は分かる。だから尚更焦がれてしまうんだということも……。
沙良を囲んだ生徒達は、話の流れをそのままに神楽の居るレストランへと入り込んできた。
「これから打ち上げ行こうぜ」
「どこにする?」
「カラオケはどう?」
生徒達が何気ない会話をしながら、この後の予定を組み立てている。そんな中に沖田も居て、その姿が神楽の前にやっとと到着した。
「おかえりアル」
控えめな声を神楽が出すと、沖田は行くときにそうした様に、神楽の髪をくしゃりとさせた。
「待たせちまって悪かったな」
沖田の言葉を聞いた神楽は、何も言わずただ微笑んで首を振った。
そして、生徒達の会話が盛り上がっている中を沖田の声が割ってはいった。
「じゃあ、俺は帰るぜ」
場にそぐわない沖田の言葉にすぐに反論の声があがった。
「なんだよ沖田、これから打ち上げだって」
帰る事は許さないとでも言うように沖田の肩を組んで離さないその様を沖田は面倒そうに切り離そうとしながら口をひらく。
「嫌でィ、俺はこいつと帰りまさァ」
当然だというように、沖田は神楽の手を掴んで輪の中から抜けて出ようとする。
すると、今度は沖田の方ではなく、神楽のほうへと視線がいっきに集中した。その視線はなんとか沖田を繋いでくれといっているのは神楽によく伝わっているようだった。本音を言ってしまえば、もともと今日は沖田とゆっくりデートが出来ると思っていたのに、沙良と食事する羽目になってしまい、やっと二人の時間がとれると思った矢先にまたもや沙良がらみで邪魔をされてしまったのだ。明日の朝になればまた二人の時間がゆっくりとれる保障なんてあるかどうか分からない。だからこそあとの時間は二人ですごしたかった。
けれど自分に集まる視線を目の前に、そんな我侭を言えるはずもない。神楽の口から出てくるのはYESだと信じていると疑わない視線に、思わず神楽の口は開いた。

「ストップ」
けれど、その声を沖田の掌が遮断した。
「悪いが、その手は通用しやせんぜ」
口をおおわれた神楽はそのまま、沖田の腕の中へとかくまわれ、その視線から隠された。
そうすると、当然沖田に反感の声があがったけれど、そんな事どうとでもないように沖田は神楽を連れて歩き出した。
「い、いいアルカ?」
後ろの方では、戻ってこいとの野次がぞくぞくと飛び交っている。背中に届く声に、なんだか罪悪感を感じてしまう神楽は思わず振り向き応えそうになってしまう。
けれど、沖田がその頭を前にむかせた。
「いいから、前むいてろ」
歩く沖田の横顔を見上げながら、神楽はその言葉に従うように足を歩かせた。



せっかく沖田と二人でいられるデートだと、前々から楽しみにしていたのに、なんだかあっと言うまに終わってしまったと思ったら、コートを脱いだ神楽の口から自然とため息がもれてしまった。
「風呂入ってくるから、適当にしてろィ」
「あ、うん分かったアル」
レストランに沙良がいたのも、道が分からなくなったのも全て偶然で、誰も悪くないのは分かっているのに、今日を楽しみにしていた神楽が落ち込むには、十分な材料だった。
あの時、沖田が間に入ってくれなかったら、きっと今頃はまだ皆といるに違いない。沖田の友達と触れ合えることは勿論嬉しい、だからあの時気持ちが迷ってしまったのだ。

考え出したらきりがないし、今日もあと何時間で終わってしまう。そう思ったら神楽から出るのはため息ばかりだった。
そうこうしている間に、浴室から出てきた沖田は、冷蔵庫から缶チューハイを取り出し口をあけた。
「お前も入ってこいよ」
沖田に言われるがままに、腰をあげると神楽は、浴室へと向かった。
沖田が入れてくれていた湯船にゆっくりと浸かると、浴室の天井をみあげた。
(それでも、論文は片がついたって言ってたし、前よりは……)

神楽が風呂からあがると、沖田はテレビをつけて寛ぐ姿をみせていた。
沖田の隣に腰をおろすと、沖田は飲んでいた缶チューハイを神楽の口元に近づけた。
「お前も飲むか?」
お酒に自信のある方じゃないけれど、沖田の前でならまだ安心出来ると受け取った。
「美味いだろィ?」
沖田の言葉に、神楽はコクリとうなずいた。
アルコールと言っても、糖度が高いチューハイで神楽でも飲みやすい。その飲みやすさが気に入ったのか神楽はそのまま沖田から取り上げると、グビグビと飲み始めた。
取り上げられてしまったと沖田は腰をあげると、二本目のチューハイを冷蔵庫から取り出し口をあけた。
そのままそれを片手にもう一度神楽の隣に腰をおろしたところで、沖田の側にあった携帯がなった。
「もしもし」
電話に出た沖田はそのまましばらく話をしている。
誰だろうと気になった神楽は、気にしないそぶりを見せながらも時折、沖田の会話に聞き耳をたてる。
そして会話が終了すると、目の前にあったチューハイを喉のおくに流し込み気にしないそぶりを見せテレビに視線をやった。

誰から……なんて毎度毎度聞けるはずもない。まさか電話に出ないでなんて心の狭いことなんて言いたくもない。でもどんどんと神楽の気持ちはモヤモヤしはじめた。
気持ちの中のおおよそは、沙良だろうと確信めいている。聞かなくてもわかるだろうと自分の中に言い訳じみたことも言い聞かせても気持ちは膨れ上がるばかりだった。

「おい」
そんな事を考えていると沖田から声をかけられ、神楽の心臓は飛び上がった。
「な、なんアル」
「気になってんだろィ」
「はっ?!べ、別に――何言ってるアル、お前」
そうは言ったものの、沖田からの視線から逃げずにはいられないように顔をそらす。
「気になってしょうがねえって、顔に書いてあるぜ」
気持ちの中の核心をつかれてしまって、神楽の顔がかあっとなってしまった。それを見られたくないと神楽は身体ごと沖田から逃げ出そうとした。
そんな神楽の表情が面白かったのか、沖田のスイッチが入ってしまったのか、とにかく神楽の身体をこちら側へとむかせようと沖田は神楽に触れた。
「嫌アルっ、離すネっ」
こんな顔、沖田になんて見せられない。嫉妬丸出しで感情はむき出し。だから本気で神楽は沖田の手から逃げようとすると、二人の体制が崩れて、神楽を下に身体が重なった。
いよいよ、神楽の表情を拝んでやろうと沖田が両手を羽交い絞めにしてみると思わず息を飲み込んだ。
ヤキモチのやきすぎで、恥ずかしさはMAX。顔はあわくほてり風呂から出たばかりの身体が温かく、髪は頬にピタリとくっついている。これ以上沖田の目の前で醜態をさらすもんかときゅっと結ばれた唇は、しっとりと濡れていた。

離してとも、嫌とも言えずに、ただ自分の隠していた感情をむりやりさらされてしまった恥ずかしさで、神楽は沖田の下で顔をそむけていた。全身から嫉妬の塊が発散しているようだった。そしてそれを沖田に見られていると思ったら、瞳が潤み、たまらなく唇を噛んだ。
すると、沖田の熱が、神楽の首筋にしっとりと吸い付いた。
「な、何するアルっ馬鹿ヤロウ」
沖田のスイッチがどこで入ってしまったのか分からずに困惑する神楽は、必死でその頭をどけようとした。
「馬鹿はオメーだ、さっきのは野郎からでィ」
細い腕の中にある顔から、沖田の声が聞こえた。
沙良の名前が出なかった事に安堵するのもつかの間、するりとシャツの中に忍ばされた指先は、躊躇もなく柔らかい膨らみを包んだ。
「やっ……ばかっ……」
イタズラなんかじゃない、本気だ……。手でいくら退かそうと思っても、上にかぶさっている沖田の身体はピクリとも動かなかった。
ひくりとなった神楽の喉。いつの間にか露になったその先端を沖田は舌先でねっとりと吸い付く。
頭を退かそうとして開かれていた掌を思わずぎゅっと握り締める。それは与えられた快感から逃げようとしているようにも見えた。
このままじゃ落ちてしまう。そう思った神楽はやぶれかぶれに口を開く。
「ま、また電話がかかってくるかもしれないネっ」
「かかって来ねえよ」
小さな反抗をすれば、たやすく沖田の口で交わされてしまい、もうどうしていいか半分分からないままに口を開く。
「なっ、なんでそんな事言えるアルっ」
すると、沖田は与えていた愛撫を中断させると、携帯を手にとり神楽へと渡した。触れてみると何も反応しない。
(電源……切ってある……)
唖然とした神楽を目の前に、これで分かっただろうとでも言うように、携帯をとりあげると沖田は再びその愛撫を再開させた。
まっさらな明かりのしたで、開かれていく自分の身体が恥ずかしくて、逃げたいのに沖田からの甘い愛撫がそうさせてくれない。
せめて明かりを消してほしい。全身で感じている姿を暗闇の中に隠してしまいたい。けれどそんな事沖田が許してくれるはずもない。
隠そうとすればするほど、沖田の緋色の視線が自分を捕らえて離さない。隠すのは許さないとでもいうように、手を掴む。
「お前――っ、ほんっとに性格曲がってるアル」
強がる瞳で見上げているけれど、沖田はそんな視線に口元をあげて笑った。
「その言葉、褒め言葉と思って受け取っておきまさァ」


・・To Be Continued・・・・・




Category: 彼氏 卒業編
Published on: Tue,  12 2017 12:10
  • Comment: 0
  • Trackback: 0

0 Comments

Post a comment