キャラメル★パレット act 38

kyarapare.jpg

イラスト// 菌うさぎ様

読者の皆様
いつも読んでくださってありがとうございます☆

続きを読まれる方は
ぜひ、コチラからどうぞ

↓↓↓↓↓↓↓↓













目の前の現実をまだ受け入れていない寧々は、掴まれた腕と蒼を交互に見比べている。
そんな寧々を目の前に、蒼は繋がれた二人の手を指差した。
「すいやせんが、それ、返してもらいやせんかィ?」
今は、ゲームの最中であって、返してくれと言われて、はいそうですかと返せるものではないだろうと言う表情をさせている生徒を前に、蒼は相変わらず、飄々としている。
「せ、せっかく捕まえたのに、誰が――、だ、大体お前のモンじゃない――」
「いーや。悪いけどこの人は俺のモンなんでさァ」
そう言った顔は、さも当然だと言うように、そして有無を言わせない迫力をみせていた。
そんな蒼を目のあたりにした生徒は、思わずゴクリと喉を鳴らした。
自分の中で、警笛がなったのか、寧々を掴んでいた手は自然に離れていた。
「そういやあ、あっちの方にも女子が居ましたぜ」
このまま去っては逃げたと思わずには居られない生徒にそう助言すると、納得したように何度が首を頷かしてはさっそうと二人の前から去っていってしまった。

「あ、あの……」
男子生徒が居なくなってしまったこの場に残された寧々は、ゆっくりと口を開いた。
いま、蒼に聞きたい事が沢山ある。一体どこに居たんだろうとか、どうやってこの場所が分かったのだろうとか。けれどそれを口にする前に、寧々の掌は蒼に包み込まれていた。
「さあて、何処に行きやすかィ?」
「あ、えっ?」
急展開の急展開でまだ頭の中が整理出来てない寧々は、戸惑う声をだした。すると蒼はぐるりと周りを見渡すと、ひとつの屋台に目をつけた。
「とりあえず、暑いんで何か飲みやしょう」
空を見上げるとそこにはさんさんと太陽が輝いている。驚きばかりに気をとられていたけれど、そういえば喉がカラカラだ。
さっきまで、雅を探そうとしていた屋台のひとつには、キンキンに冷えたジュースがウリ文句の屋台があった。
「何飲みやすかィ?」
「あ、えっと、オレンジジュースをお願いします」
「オレンジと、コーラで」
蒼が店員にそういうと、すぐに二人にキンキンに冷えたジュースが手渡された。
寧々が口をつけると、カラカラになっていた身体に冷えたジュースが一瞬で駆け巡ったような気持ちいい爽快感が走った。
「美味しいです」
「良かったでさァ」
寧々の満足そうな顔をみた蒼は、ふわりと笑った。
それはさっき撃退した男子生徒に向ける顔でもなく、唯一の兄弟である隼人に向ける顔でもなく、寧々にだけ向けられる特別な顔だ。

今はゲームの最中のはずなのに、蒼はまったく興味がなさそうだ。その証拠にゴールである場所に行こうとしているそぶりは全く見せずに、密集している屋台に目を配らせている。
「あれやりませんかィ」
そう言われた方に視線をやると、そこには射的の屋台があった。
「わ、私やった事なくて……」
絶対一発も当てられない自信だけならある。そしてそんな失態を蒼に見られるなんて恥ずかしすぎると思った寧々だったけれど、蒼の足はもう屋台の方に向かってしまっていた。
「俺が先に見本をみせてやりまさァ」
蒼はそういいながら構えると、狙いを定め引き金を軽く引いた。すると狙い通りの場所でパンっと音をさせると意図も簡単に命中させてしまった。
「凄いですっ」
こんなにも簡単に当たるだなんて、そう寧々は驚きながらも手を叩いた。
「ほら、アンタもやってみなせィ」
「は、はいっ……」
渡してもらったはいいけれど、到底当てられる気がしないでいる寧々に、すっと蒼が近づいた。
「ここをこうして……」
細い寧々の腕に、そっと蒼の手がそえられる。すぐそばに蒼の身体がある。しかも今、二人は水着だから余計に体温が近くに感じられてしまい、寧々の心臓は一気に加速してしまった。
射的が目的なのに、逸る鼓動がとてもじゃないけれど集中させてくれない。
引き金に触れる手に、蒼の手が重なる。耐えられなくなってしまった寧々はぎゅっと目を閉じてしまった。その瞬間、無意識にひかれた引き金は、狙いを通りこしてかすってしまった。
「ご、ごめんなさいっ」
「別に謝る事じゃないさァ、アンタは初めてだったんだし」
初めてかどうかは問題じゃない、側にいる事が問題なんだ、なんて口かさけても言えない寧々は困ったように唇をかんだ。
「さあて、じゃあ次はどこに行きやすかィ?」
さっき食事は済ませているのでお腹は減ってない。
「あ、あの……」
「うん?」
そもそも、いまはゲームの真っ最中のはずだ。生徒たちはみんな必死になってゴールに向かっているはず。
なのに、この落ち着いた蒼の態度はなんだろうと寧々は気になってしまう。
ゲームなんかに興味がないんだろうか?けれど蒼の腕にはしっかりとゲームの印がある。
「ゲーム……中ですよね、確か今って」
確認するように蒼の応答を求める寧々の言葉を聞くと、ふっと面白そうに口を開いた。
「ああ、ゲームな」
「早くゴールしなくて、いいんですか?多分景品とかいろいろあると思うし……」
ゲームと言うくらいだから景品だってあるだろう。隼人はそうでもないけれど、どちらかと言えば蒼は勝負ごとには比較的乗るようなタイプだ。尚更こんな所でのんびりしている状況が信じられない。もしかして、何か否決でもあるのだろうか?そんな事を寧々は考えた。
「それなら、もうとっくに貰ってまさァ」
「えっ!もうもらったんですか?」
さすがは蒼だ、自分と会うまえにとっくにゴールしてしまったんだろうか?
すると、そんな寧々の思考をよんだのか、蒼は笑いながら口をひらく。
「違うって、そうじゃなくて」
そう言いながら、寧々の方へと指をさした。
「わ、私……ですか?」
蒼の言っている意味が分からない寧々はキョトンとした表情をさせている。
「ここで、こうしてアンタと一緒に居られる。俺にとってはそれが景品でさァ」
蒼から、そんな言葉を聞かされてしまい、寧々はかあっと顔が熱くなる思いがした。
一体自分のどこにそんな魅力があるのだろう、自分の意見ひとつ言う事も出来ずにいつだってヤキモキしてしまう。もっと雅の様になりたいと思うばかりなのに、どうしてそんなにこの人は――。
想いがこみあげて、思わず寧々はうつむいてしまう。
「どうした?」
「いえ、何でも……」
そう寧々は静かに首を振った。
無条件で思ってくれる事があまりに嬉しくてなんて、目の前で口にだせるもんじゃない。
だからこそ、思いがこみあげてくる。
そんな寧々のからだが、蒼の腕の中につつまれた。
「もしかして、また私なんかとかって、考えてるんじゃないですかィ?」
思っていた事を、ずばり当てられた寧々は、蒼の腕の中で慌てふためいた。
蒼は寧々の考えている事がさも分かるように、寧々の頭上で笑うそぶりをみせた。
そして、ゆっくりと寧々の顔をあげさせた。
「俺が考えてる事を、当ててみてくだせェ」
蒼が考えている事なんて、そう思う寧々だけれど、実際いつだって蒼は自分の考えている事をお見通しだ。そう思ったら、なぜか当ててみなくてはいけない気がする寧々は、真剣な顔をして考えはじめた。
(蒼くんが、考えている事……)
一体なんだろう、難しい事は考えていない気がするけれど、何を考えているか分からない点にしてはこの双子の難易度は高すぎる。
ちらりと斜め上をみてみれば、楽しそうな顔で蒼は笑っている。さも当ててみろとでもいう様な表情に、ますます寧々は困惑してしまいそうになってしまった。
そうこうしているうちに、しびれを切らした蒼が口を開いた。
「残念、時間切れでィ」
その言葉に、思わずあっと声を出しそうになった寧々の唇を、それより早く蒼が奪った。
驚いた寧々は瞳を大きくひらいた。
ゆっくりと離された蒼からの唇の感触は、離れたあともまだそこに温もりとして残っている。
「アンタとキスがしたい」
急に出された蒼からの言葉に、初め意味が分からなかったけれど、すぐにそれが答えだと知った寧々はわっと顔を赤らめた。
そんな答えなんて分かりっこない、顔を赤らめた寧々をよそに、蒼はもう一度をその唇に熱を重ねた。


・・・・To Be Continued・・・・・


Category: ★キャラメル ★ パレット(hit小説)
Published on: Sat,  09 2018 07:15
  • Comment: 1
  • Trackback: 0

1 Comments

おはぎマン  

何度もごめんなさ〜い!

何度もコメントすいません!
今回も最高でした!
「あんたと、キスがしたい」
ふきゃああああああああ(〃艸〃)♡
マジでありがとうございます(●´ω`●)
次も楽しみにしてます!

2018/06/10 (Sun) 20:23 | EDIT | REPLY |   

Post a comment