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彼氏 卒業編 28

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イラスト/ 菌うさぎ


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忘れたと思っていた事柄が、ある日ふと思い出される。
そんな瞬間だったと思った。

自分の中で、小さく丸め込んで隠していた恐怖が、一瞬でえぐられたような気がした。

「落ち着いたか?」
テーブルの上にカップを置いた沖田は心配な面持ちで神楽を覗き込んだ。
「うん、大丈夫アル」
そう言いながら、神楽はそっとカップに口をつけた。
本音を言ってしまえば、まだ心臓の奥底では激しい動機が今にも動き出してやろうかと息を潜めているのがわかる。けれどそれを悟らせてしまえば、きっと沖田はあの時のように自分を責めるだろう。

だから神楽はそっと瞳をとじた。目の前にいる沖田に感情の流れを読み取られまいと……。
沖田はそんな神楽をそっと抱きしめた。その背中にゆっくりと手をまわした。
「……落ち着くアル」
腕の中でそう神楽がつぶやくと、沖田は安心したような表情をさせながら、神楽の髪をくしゃりとさせた。

大丈夫と言っても、大丈夫じゃないと言っても、きっと沖田は心配する事に変わりない。
だからこそ、口数は少ないような気がした。

そんな時間も過ぎたころ、ゆっくりと神楽が顔をあげた。
「ねえ」
「ん?」
「あれはどうしたアル」
「あれ?」
なんの事だと首をかしげる沖田だったけれど、すぐに分かったような表情をさせた。
どうにもならない状況だったとはいえ、神楽の目の前で沙良からのチョコレートを受け取ったのだ。神楽の事に気を取られていたけれど、今になって沖田は思い出したようだった。

沙良から渡されたあと、あの場を出てすぐに呼び止めた。
「悪いがこれは受け取れねえ」
確かに場が場ではあったけれど、あの沖田が受け取ってくれた事実は、沙良にとって嬉しかったはずだった。
「え、あの……」
「俺はあいつ以外の誰からも、受け取るつもりはなかった。受け取ったものを返すなんて事はするもんじゃねえが、それでもこれは返しておきまさァ」
この言葉にどんな返答をしても、自分の応えは変わらない。そう沖田の顔は言っている。
こんな顔の沖田は目の前にして、反論できるはずもなく、沙良はゆっくりと口をひらいた。
「分かり……ました」
そのすぐ後の事だった。
窓の外をみた沖田が沙良の前から姿を消したのは――。



「返した」
沖田の口から出てきた言葉に、神楽は驚いたように瞳を大きくさせた。
「かえ……したアルカ?」
バレンタインが、女子にとってどんな物かは誰よりも分かっているつもりだ。
それを抜きにしても沙良からのチョコレートの行方が気になっていたのも本当だった。自分の中の気持ちがまとまらないからこそ、神楽は驚いていたのだった。
「ああ、返した」
どんな風に返したのだろう?いつ、あの短時間の合間にどんな言葉をかけて……。
気になって仕方ない気持ちはあるけれど、それを沖田に聞いてしまうのはルール違反のような気がした。
「そうアルカ」
だから、この言葉で終わらそうと思った。沙良が渡したチョコレートを沖田は返した。その事実があればもう十分だと……。

思いにふける神楽の頬に、沖田の手が触れようとした――。
けれどその瞬間、神楽の身体がびくっと震えた。
「あ……、違うこれは……」
いきなり触れた感触に、思わず身体が反応してしまった事に神楽は焦って思わず声をだした。
「悪い、怯えさせちまった」
触れようとしたその手を沖田は引っ込めようとした。
「違うアル!! 」
けれど沖田の手を神楽はぎゅっと掴んだ。
どうしてこの手を間違える事が出来たのだろう。そう思いながら胸の中にぎゅっとその手を握りしめる。
確かに驚いた事には間違いない。
「怯えてなんかないアル」
世界で誰よりも愛おしくて、絶対に離したくないこの手を怯えるはずなんてあるわけない。
沖田の背に手をまわすと、ぎゅっとその身体を抱きしめた。
「神楽」
頭上からの柔らかい声に神楽はそっと顔をあげた。
「俺が怖くないか?」
沖田の言葉に、胸の中の気持ちが一気にはじけた。
ふわりと神楽の髪が揺れたかと思えば、沖田の唇に柔らかい感触が触れた。それは神楽の今できる精一杯の思いの印だった。
「そんな事、思うはずないアル……絶対」
そう見つめる瞳は、真っすぐな色で沖田の方を見ていた。
離れたばかりの温度が惜しくなったのか、沖田はゆっくりと神楽の唇に熱を重ねた。
それもすぐに離れたあと、ゆっくりと口をひらく。
「絶対か?」
「うん、絶対アル」
背中に回していた手は、自然と沖田の首に回された。
柔らかい熱がおうとつを埋めると、舌がからみ甘い音が漏れた。
その体制は自然と傾き、二人の身体は、いつの間にかフローリングの上にとあった。

神楽のすぐ上にあった沖田の身体は、惜しみなくその熱を神楽の頬や首筋に落としていく。
けれどそんな沖田の手がふととまった。
いつもなら、そろそろ神楽の手がけん制をしてくるのに、まったくその様子が見られない。
今止めないと、止めらなくなる……そう思った沖田の身体は自然と神楽から離れようとした。
「どうしたアル」
「どうしたってお前……」
こんな状況とはいえ、陽もまだ高い。当に押し倒した後とはいえ、沖田は神楽を下に言葉を濁らせた。
「別に嫌だなんて言ってないアル」
ぶっとんだ神楽の言葉に、沖田は唖然としてしまった。
(かんべんしてくれ)
神楽の胸の上で、沖田はうなだれる体制をとった。こっちは必至に傾きかけた理性をまっすぐに伸ばそうとしているのに、よりによって当の本人がそれを邪魔してくる。それも信じられないような言葉を投下しながら。

いつ何時だって手放したくない、触れれるならばずっと触れていたい。そう思っている神楽が今目の前にいる。手を伸ばせば触れられて熱を落とせば受け止めるこの距離感だからこそ、そう思ってるのに、神楽の言葉はその境界線を取り払ってしまった。
「あのな、そんな事言ってると、止めらんねえぜ」
「……いいって……言ってるネ」
囲まれた男達の恐怖を上書きしたいのかと思ったけれど、どうやらそれ以上に神楽の心を占めるものがあるようだった。
いくら心の中からぬぐってもぬぐい切れない思いを、必死で誤魔化している、そんな風な思いに似た感情がその中にあった。自分は特別、それを形にして表したい。そんな思いもあった。
でも、それを沖田に悟らせまい、知ってほしくない。そんな横顔は、沖田の感情をひたすら煽っているだなんて思ってもみずに……。

沖田の手が、流れるように身体に触れると柔らかい膨らみをゆっくりと揉みしだいた。
神楽の口から甘い言葉が漏れるまえに、それは甘い熱でふさがれる。
唇のおうとつを埋めていた熱は、ゆっくりと白い首筋にと降りては、熱をおとしていく。
「んっ……あっ」
神楽の口から甘い声が漏れた時には、沖田の手は、濡れそぼった場所へと降りていた。
誘ったのは自分、だからこそ自分の身体に今起こっている事が恥ずかしくてたまらない。それを誤魔化すように、その甘い声は大きくなっていく。
「おき……たっ」
沖田の指が、中でくちゅくちゅと音を立てながらかき混ぜていく。
それにたまらなくなったのか、神楽は背をのけぞらせた。
たまらずに沖田は、神楽の中へと熱をうめると、あっと言う間に二人を快感の渦へと突き落としていってしまった。

気が付くと、神楽はベットの中にといた。
落ちてしまったんだと気付くと同時、側に沖田がいないんじゃないかとハッとした。けれど神楽の隣にちゃんと沖田はいた。
ここまで運んでしまったあと、寝てしまったのか、隣にいる沖田は静かに寝息をたてている。
窓の外をみると、もう夕暮れになっていた。

本当は、今日は午後から大学の授業だってあっただろうし、どこから来たかのお偉い教授との話もあったのに、それら全部を払って沖田は来てくれた。いつだって沖田は自分の方を見てくれる。分かっているのに、ままならない気持ちが押し寄せては沖田を困らせる。だからと言って、離れてやれない、離れたくない。

(我儘だって、もう十分分かっているのに変える事が出来ないなんて……)

同じ布団の中から沖田の寝顔を見る、前髪に触れると、サラサラと髪が手のなかから落ちた。
(私は、どうやったらこいつから自立が出来るアル)
沖田が前を向いて歩いているように、自分もそうありたいと思うけれど、どこに答えがあるかも分からずに、ただ一日を生きている。動機が不純であっても、また子のようにいつだって自分の目標を見失う事がない姿を見ていると、輝いてみえて羨ましくてたまらなくなる。

沖田からは、どう見えているかは分からない、けれど少なからず身体を重ねられると言う自分だけの特権がある事を形で示したかったのは、間違いない感情だった。

「神楽」
急に呼ばれてしまい、慌てふためく神楽の目の前には、今もまだ瞳を閉じている沖田がいる。突然の声に、今口を開いたのは本当にこの男で間違いないのか思わず疑いたくなった。
そんな神楽を目の前に、その体制のままで沖田は言葉をつづけた。
「一緒に住みやすかィ?」
(……え)
思わず聞き間違いかと思った。だからそれを確かめる言葉さえも出なかった。神楽にとって思ってもみない言葉が沖田の口からこぼれたのだ。けれど神楽の目の前で、瞳をあけた沖田は、もう一度その言葉を繰り返した。
「俺と一緒に住むか?」


・・・To Be Continued・・・・・











Category: 彼氏 卒業編
Published on: Tue,  17 2018 13:59
  • Comment: 4
  • Trackback: 0

4 Comments

おはぎマン  

ありがとうございますぅ(๑>◡<๑)

今回の話も最高でした!続きが気になります♡ありがとうございます(๑>◡<๑)

2018/07/24 (Tue) 19:27 | REPLY |   

(●´ー`●)  

いつも楽しみにしてますーー!!!

2018/08/20 (Mon) 21:32 | REPLY |   

ツンデレ  

Re: ありがとうございますぅ(๑>◡<๑)

こんばんは(っ´ω`c)
お返事遅くなってしまい、申し訳ないです( ˃ ˄ ˂̥̥ )
なかなか時間が取れなくて、進んでいませんが、次の更新は「彼氏 卒業編」の予定です。
暑い暑いと言っていたら、あっと言う間に時間が過ぎて、秋が近づいてきましたね。

次回の物語もキュンとするものを作っていきたいと思いますので、楽しみにお待ちいただけると嬉しいです!( ღ'ᴗ'ღ )
コメント、ありがとうございます!

2018/09/16 (Sun) 22:26 | REPLY |   

ツンデレ  

Re: タイトルなし

こんばんは~~o(♡´▽`♡)o
いつも楽しみに待っててくれて、嬉しいです♪
そして、更新遅くて申し訳ありません‧*˚・(๐′д‵̥๐)・˚*·

今、次回の更新のストーリーを作っていますので、出来るだけ早く更新させたいと思ってます(๑˃̵ᴗ˂̵๑)
次の小説も、楽しみにして待っててくださいね( ˊᵕˋ )♡.°⑅

2018/09/16 (Sun) 22:30 | REPLY |   

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