彼氏 act 8




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天井からの僅かな光に浮かぶ少女は綺麗な瑠璃色だった瞳を暗く影を落とし、まるで其処に【居ない】かの様にボー然と天井を見上げていた。その光が影に邪魔され、とうとう光を失った。薄暗く、しかしその目がその暗がりになれた頃、唖然としていた少女達はカクンと腰を抜かし、その場に尻をついたまま口元を両手で覆った。瞬く間に涙が頬をおびただしい量で濡らすとその冷たい涙はスカートに簡単に染みをつくった。

確かに目をあけているのに、確かにその心臓は動いているのに、此処に神楽が居ない…。触れる事を許されないかの様に、その【形】をそのままに土方、高杉、近藤の制服を重ね隠された神楽の体をもう一度視界にいれ、やはり信じられないと女達は首を振ったまま泣き続けた。

しゃくりあげながら、また子はそっとその腫れた頬に手をやった。周りは止めろと声を出したが、そうせずにはいられなかった。しかしやはり神楽は戻ってはこなかった。両方の頬は青痣と共に腫れ上がり、唇は切れた血で両方の口端が固まっている。
「か…ぐらちゃ――。どうして…こんな事に…。」
言いながら最後は鳴き声が入り混じり、言葉にならずそのままになった。自分達が此処にいる事さえ気付いてない。そもそも神楽自身が此処には居ない。どうしていいのか分からず立ち尽くしているのは男だった。土方の叫び声にも全く神楽は反応を示さず、全員が土方の元に集まり息を呑み、言葉をうしなわせるのは、ほんの一瞬あればよかった。高杉は神楽と同じ様に天井を仰ぐと、拒絶するようにその目をぎゅっと瞑りぎりぎりと歯をくいしばった。
近藤は握った手から血が、ポタリ、ポタリと流れた。たまらず掌で顔を覆うと今にも泣きそうに顔を歪めた。

「やったのは、一体ェ誰だってんだ…。」
搾り出す様に土方が言うと、しゃくりあげていた女達が、地面に落ちてある何かを見つけ、それを拾い上げると、頭上、光に照らすようにそれを見つめ愕然とした…。神楽が見せられた日常的な自分の写真だった。素早くそれをとった高杉は同じようにその写真を陽に照らし確認すると目を見開いた。
「なん…だ。こらァ…。」
それを土方がしゃくり取り、近藤に渡すのと同時、高杉は女が居る周辺をさぐると、いくつか出てきた神楽の写真。愕然としている土方に浮かんだのは計画性と言う恐ろしい言葉。それを裏付けるように吐かれたまた子の言葉。
「まさか…だってそんな。それ位で…?なんでこんな事――。」
思うが早く高杉はまた子の肩をぐっと強い力で掴むと正面を向かせた。
「どういう事だ!何か知ってんのか?!」
「だって…!」
冒頭から泣き出したまた子の肩を掴みちゃんと話せと高杉は怒鳴った。
「神楽ちゃ…いじめられ…でも言わないでって…知られなくないってェ――。」
また子の言葉に固まってしまった高杉。そして聞きながら土方の頭に浮かんだ筋書きは、何処をどう探しても絡まる点がみつからない。パズルの様にピタリとはまってしまった。ほんの一瞬後ずさりをした。

転校当初から神楽に向けられた嫉妬の視線に気付いてないわけではなかったが、まさかこんな事になるとは誰も予想していなかった。ましてや苛められているなどと言う話はたった今聞くまで知らなかったし、聞いた今でも信じられなかった。誰のものにもならない存在の沖田がたった一人の女を惚れぬいた。確かに当時自分達も幾分信じられない思いはあったが、その頃から既に嫉妬の固まりがすこしずつ蓄積されていたとは夢にも思わなかった。

沖田が神楽を大事にすればするほど、神楽に対する視線は鋭くなっていた事に、今更ながらその破片を拾い集めたように、その狂気に触れた気がした。
「どうして俺らに言わなかった。」
土方が低い声で唸るように言った。
「だから…それは神楽ちゃんが――。」
「コイツに内緒で言うくらいできたんじゃねーのか!?」
お妙の言葉に土方が思わず怒鳴るとお妙は稀に見るほど体を震え上がらせた。それ程までに土方の中で震える感情が溢れていた。しかし自身も強く言い過ぎたと瞬間感じたらしく、すぐに「すまねェ。」と言葉を付けくわえた。お妙は首をふるふると振ると、「本当よね、もっとせめて沖田さんに言わなくても、皆には…土方さん達には――。」
そこまで来て、ハッとお妙は息を呑み口を噤んだ。
何か大事な事を、たった今思い出した様に全員の皮膚から冷や汗がどっと溢れた。
すでにまた子は言葉を言う事さえも出来ない程に怯えて震えている。それは両隣のお妙、そして姉でもあるミツバも同じだった。あの男が、唯一大切にしている存在を、此処までぐちゃぐちゃに壊された挙句、遊び捨てられてしまったこの様を、どうして彼に説明できるのかと…。

少女達の歯はカチカチと音を鳴らせ、どんなに落ち着けと、落ち着かせようと踏ん張ってみても、音を鳴らし続けた。彼が、自分達に危害を加える訳ではない事くらい、十分分かっている。知っていながら言わなかった自分達の事を心配してこんな風に体が悲鳴をあげてるのではなく、只、純粋に壊されたと知った後の彼が、恐かった…。

歯から伝染した震えは自分達の指先まで伝わり、ぎゅっと自身で掴んでみてもその震えが止む事は無かった。すがる様に隣の少女の手を掴むと、すぐに痛い程ぎゅっと握り返された。自然と少女達は手を繋いだ。力をめいっぱい入れて…。
呼吸は乱れ、短い間隔でハッハッハッハッ――と息を繋いだ。



・・・・To Be Continued・・・・・



Category: ★彼氏
Published on: Sat,  06 2010 16:10
  • Comment: 9
  • Trackback: 0

9 Comments

ナクラ  

不謹慎だけど神楽がまた子たちに見つけてもらえて良かった

とりあえず 続きです
沖田の反応は…

2010/11/06 (Sat) 17:11 | REPLY |   

真奈美  

前のやつよりも
沖田が怖いってことがはっきりとわかりますね;;

新装版的な...好きですよ☆

2010/11/06 (Sat) 17:40 | EDIT | REPLY |   

きょん  

神楽の状態が悪化してますね…………
反応さえしない、と。
さて沖田はどうでるか…………


てかコメント多すぎてすいません

2010/11/06 (Sat) 19:08 | REPLY |   

桜組  

彼氏、更にバージョンアップしてるかんじですね。
前のより、総悟が神楽を大事にしてるのとか
神楽が総悟の事を好きなのが、強く出てるきがする。
ストーリーは知ってるはずなのに、また新しい
ものを読んでる気分です。
続きが、気になります

2010/11/07 (Sun) 19:08 | REPLY |   

ゆー  

うお、新バージョン!!
まだ来始めたばっかりだったんで
あんまり前のバージョン覚えてないんですが←オイ
バージョンアップしてるのは確かですね!
続き楽しみにしております^^
あと甘い我侭のほうも続きが気になっております(笑)

2010/11/07 (Sun) 20:16 | REPLY |   
ツンデレ→ナクラさん">

ツンデレ→ナクラさん  

Re: タイトルなし

ツンデレ→ナクラさん">

不謹慎だけど、本当にそうだよね。

こんな状態の神楽を土方達じゃなく、
誰か他の人に見つかったら、もっともっと
神楽の傷は深く抉られるんだと思う。

そう考えれば、神楽を見つけたのが、
土方達で、本当によかった。
そう思うよね。

さて、さて、どういった続きにしようか
悩み中^^
楽しみにしていただけたら、嬉しいです★

2010/11/28 (Sun) 18:01 | ツンデレ→ナクラさんさん">REPLY |   
ツンデレ→きょんちゃんへ">

ツンデレ→きょんちゃんへ  

Re: タイトルなし

ツンデレ→きょんちゃんへ">

神楽の状態を、今の自分で色々考えて
ショックが大きすぎて、人なんか簡単に壊れちゃうんじゃないかな
って思ったンダ。

コメントが多くてスイマセンだなんて…。

すっごくすっごく嬉しいんだよ!
毎日、毎日、コメントお知らせメールが、まずメールに届くの。
そのメールを見たら、あっ。って思うんだ。

あたしは、コメント貰うと、舞い上がっちゃうんだヨ^^

2010/11/28 (Sun) 18:05 | ツンデレ→きょんちゃんへさん">REPLY |   
ツンデレ→桜組ちゃんへ">

ツンデレ→桜組ちゃんへ  

Re: タイトルなし

ツンデレ→桜組ちゃんへ">

桜組ちゃぁぁぁん!!

ひっさしぶりィィィ♪
すっごい嬉しい言葉ありがとう!

最近会えなかったから、元気かなって思ってたんだ。
でも、時々見に来てくれてるよね、なんて思ってたり★

とにもかくにも、彼氏や、その他の小説、
忙しい時は、スルーして、また暇な時にでも
遊びにきてね★
楽しみに待ってるヨ♪

2010/11/28 (Sun) 18:08 | ツンデレ→桜組ちゃんへさん">REPLY |   
ツンデレ→ゆーちゃんへ">

ツンデレ→ゆーちゃんへ  

Re: タイトルなし

ツンデレ→ゆーちゃんへ">

あたしのリア友にも、ゆーちゃんって子が、居て
思わず親近感が沸いちゃうんだヨ^^

彼氏はもとより、甘い我侭のほうも楽しみにしてくれてるんだね★
ありがとう^^

甘い我侭は、前から妊娠したら、皆どれだけ優しくなるかなって
書いてみたかったんだぁぁ。
だからそれを気に言ってもらえて、すっごくすっごく嬉しい^^

2010/11/28 (Sun) 18:11 | ツンデレ→ゆーちゃんへさん">REPLY |   

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