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名前を呼ばせて act 5

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(えんぴつマークの英語のところです)
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「――まだ皆来てねぇな。このまま二人で逃避行っつーのはどうでィ。」
駅のベンチに座り、沖田は暑ちィと手をひらひらさせている。
「何が逃避行アルカ。」
神楽は呆れた様に沖田に言いながらも、その表情はいつもよりずっと和んでいる。

「オメーが、こんな朝早くに起きれるなんざ、マジで天地がひっくり帰ると思いやした。」
沖田の言葉に、私もやる時はやる女だとでも言う様に、フフンと胸を張った。しかし、それもこれも、早朝の沖田からの電話のおかげだと言う事は、ちゃんと分かっていた。昨晩の神楽の提案は、朝にしっかりと生きていた。いつものアラームでは中々起きれない自分が、沖田の着信音が耳に入った途端、勢いよく飛び上がり、そのまま正座でボタンを押すと言う奇跡技の成功が出来たのだ。おかげでまだ駅には誰の姿もない。二人っきりだと言う事で…。
しかしそんな二人の雰囲気を、意図も簡単にある人物が裂いた。

「おはよう~!」
「お、おはよう…。麗ちゃん。」
火照った頬を冷まそうと、神楽は必死こいて掌で仰いだ。
「あれ?まだ二人?」
肩透かしを食らった沖田は、ふてぶてしい顔をさせ、見て分かるだろうがと、ぶつぶつと文句を言っていた。麗はごくごく当たり前の如く沖田の隣にと腰をかけた。

「ね、昨日眠れた?私全然眠れなくて…。だって久しぶりだもんね、皆でこうやって遊ぶの。」
麗は沖田の方を見ながら、これでもかと必殺スマイルを繰り出した。しかし沖田は平然と答えた。
「あァ、ぐっすり眠れやしたぜ?こいつの声が子守唄代わりになってな。」
麗を他所に、沖田は神楽に向けて軽く笑みを見せた。
「そ、そうアルカ…。じゃぁ、私に是非感謝するヨロシ。」
何で自分はこうなんだと唇を噛んだ。けれど沖田にはこれが照れ隠しだと、ちゃんと伝わっている。くっと笑ったと思えば、もう機嫌が直った様な表情になった。けれど麗は当然面白くない。沖田との距離を少し詰め、沖田の挟み、神楽へと話かけた。

「ね、前から思ってたんだけど、神楽ちゃんって、とっても面白い話方するのね。」
くすくすと笑う麗の言葉に、神楽は思わずカァっと顔を赤くした。初めて会った時、確かに皆に言われた。けれどそれは批判的なものでは無かった。愛着がかかった言葉だった。  
そりゃ沖田の言葉だけは、最初本当に腹がたったけれど、こんなに恥ずかしい思いをする様な事はなかった。

「いいだろうが。どんな話方だって。別にオメーに迷惑かけちゃいねーだろィ。」
沖田のきっぱりとした態度に麗は唇を噛んだ。沖田は神楽に向けて、柔らかく、気にすんな。そう言った。どうしてこいつの言葉は、こんなにも自分の心を一瞬で軽くしてしまうんだろう…。神楽は思いながら微笑んだ。

そうこうしていると、お妙、そして土方…と次々に到着をしては、第一声に、神楽が何でこんなに早いんだと声をあげた。
乗り込んですぐ、席順で悩む事になってしまう。いつもなら八人で何も問題が無いのだが、今日は麗が居る…。
「じゃァ、私は総悟と座りたいな~。」
唐突な麗の言葉に皆は唖然とさせた。
「だ、駄目アル!沖田は私と――。」
思わず声をあげてしまったが、本来なら自分はこんな風に皆の前でやきもちを妬く様なキャラではなく…。しまったとばかりに口を閉じた。
「そうだな。オメーは俺と座りてーよな?」
言うと沖田は神楽の手を引き、当然の如く二人がけの椅子に腰を下ろした。これには神楽も喜びを隠せなかったらしい。こみ上げてくる喜びを隠すのに精一杯だった。後はよろしく頼むぜと一瞬高杉達に視線を移した後、神楽の隣で先程自販機でかったペットボトルを取り出し、飲むか?と神楽に話かけ始めた。気の強い麗は、神楽をうらやましそうに睨んでいる。雰囲気が悪くなると、今度はお妙が切り出した。

「じゃァ、こうしましょう。麗ちゃんは私と座る様にすればいいと思うの。ほら、つもる話も聞きたいし…。」
これに、近藤は背景がガーンと白く石化した。
「別に席なんて、どうせ向かい合わせにしてるんだから、誰か一人補助席になるだけであって輪の中から閉め出される訳でもなんでもねーし。」
そう言うと、土方は、その補助席を出し、座った。つまりは通路側の神楽の隣だ。その土方の隣にミツバ。そしてその隣に近藤だ。しくしくと泣く近藤の前にはお妙、その隣に思い切り不満そうな麗。そして神楽の前にまた子、そしてその隣には高杉…。
「俺の脚が長げェから当たっちまうんだよ。短足は足でも不恰好に組んでろ。」
フン、と、高杉が言うと、沖田が高杉の足に思い切り蹴りを入れた。
「あァ、すいやせんねェ。長すぎて当たっちまった。」
ケッと沖田はそっぽを向いた。すかさず高杉が沖田に一発…。すると沖田が更にそれを返し…。
「ま、まぁまぁ…。そんな喧嘩しないで欲しいッス。」
「そうアル。沖田。ほら笑って…。ネ。」
神楽とまた子の言葉で二人はしぶしぶ足を止めた…。

 
電車を降りると、すぐに潮の香りが鼻を掠めた。
「海!海アル!」
興奮は頂点。神楽は声をあげた。この景色には、お妙やミツバ達も感動してるらしかった。駅からすぐ其処、海が見えた。麗がこっち、と皆を案内すると中、神楽はその道並みに並ぶ海の家にうっとりとさせていた。カキ氷、アイスクリーム、ソーダ、ラムネ、焼きそば、あァ、たこ焼きもあるネ…。神楽はフラフラとそちらの方へと流されていたが、その首根っこを沖田が捕まえた。
「来た側から迷子になる気か?」
沖田の声に、神楽は苦笑いをし、おずおずと皆の側にと戻った。ビーチサンダルの下、サラサラの砂が時々足の裏をくすぐった。すでに海は人で溢れている。きゃっきゃと波打ち際ではしゃぐカップル。女友達同士で颯爽と歩く姿。家族連れでわいわいと騒ぐ人…。見てるだけで幸せな気分になれた。
「オメーよォ。そんな格好で大丈夫なのか?」
ノースリーブのワンピース一枚。本当は、麦藁帽子を持っていこうと思っていたのだが、玄関に忘れてきてしまったのだった。
「むぅ…。だって仕方ないアル。忘れたんだから…。」
 ゴニョゴニョと、語尾をうやむやにしている所を見ると、多少反省はしているらしいと沖田は思った。
「ほら、これ着てろ。」
 沖田は神楽に半袖のパーカーを着させ、フードを深く被らせた。
「汗臭~い。」
照れ隠しに言った神楽の方を、沖田は冷ややかな視線で睨んだ。
「う、嘘アル。沖田の匂いネ。」
「そりゃ訳すと、俺は汗くせーって事ですかィ。」
「だ、だから違うアル。他の人からすれば汗臭いかも知れないけど、私からすれば、沖田の匂いは好きな匂いアル。なんたって沖田の匂いだもの。うん。」

「…オメーしか汗くせーって言ってねーけどな。」
 
神楽が深く突っ込まれ、もう駄目だと、ぷぅとほっぺたを膨らませたので、沖田はその頬を突っつき、中の空気を抜いた。その表情は、麗が見たこともない、柔らかいものになっていた。
 案内された場所は、民宿といえど、立派なものだった。麗の顔をみた途端、受付の女性は手をあげ、しばらく話しこむと、鍵を一つだけ渡してくれた。

案内される部屋に向かう途中、皆は頭にクエッションマークを浮かべた。そして間もなく、お妙が声をあげた。
「う、麗ちゃん?これって、どう見ても…。」
「そ。一部屋よ。」
にっこりと微笑む麗に、思わず手に持っていた荷物を、ドサッと部屋に落とした。皆の様子を見ながら、麗はけらけらと笑った。
「だって、この忙しいシーズンに、そんな何部屋もタダで借りれないよ~。」
確かに…。土方はため息をついた。しかし今更どうする事も出来ない。確かに大部屋になっていて、寝るには不自由しそうもない。広さだって、十分すぎる程ある。だからと言って、まだ高校生達の自分達が、いくら何でも一緒に部屋を共にすると言うのは、如何なものだろうか…。そう思ったのは土方だけだったのが、悲しい所だった。

「ま、いっか。気にしてても仕方ないし、とっとと着替えて泳ぎに行きましょうか。」
 吹っ切れば早かった。お妙達は荷物の中を探りながら、更衣室へと足を向けた。だだっ広い部屋をボー然と見ながら、土方は口を開いた。
「オイ、高杉。この部屋では節度のある行為を取れよ。変な真似しやがったらぶっ殺す。」
「オイ。節度のある行為っつーのは、どんなモノを指すんだァ?」
「つまりは盛るなって事でしょう?」
沖田は憎たらしい視線を土方に向けた。
「俺ァ、テメーにも言ってんだ。」
「よしてくだせェ。こいつと一緒にされちゃ困りやすぜ?俺は俺の前でしか、あいつを晒すつもりはありやせん。」
「オイ。そりゃ何か?俺は節度どころか節操もない馬鹿野郎みてェだなァ、あ?」
「何今更気付いてんでェ。みてェじゃなくてテメーは前から――。」
「まぁまぁ。とりあえず着替えようじゃないか。」
 着いたばかりで、乱闘になりそうな場面を、何とか近藤が抑える事に成功した。しかしまだまだ沖田と高杉の勝負はついていないらしい。今にも突っかかりそうな沖田の首根っこを、土方は必死で掴むと、その場を引きずる様に更衣室まで行った


・・・・To Be Continued・・・・・
Category: ★名前をヨバセテ
Published on: Tue,  06 2010 07:19
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