石榴の花の蜜 act 3

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「総司ィ。」
縁側に座っている沖田を見つけた平助が、やや冷ややかな視線で見下ろした。
「何で、あんなに千鶴の瞼が腫れてるんだ。」
言った後、さらにその瞳が冷たさを増した。沖田はため息をついたものの、平助の質問には答えなかった。
「千鶴は何でもないって言うけど、何かあったに決まってる。それもお前と一緒に行った巡察中にな。」
ドスンと沖田の隣に腰を下ろした。腕を組んだかと思えば鋭い視線を沖田にぶつけた。別に男と女の感情で平助が怒りを露にしてるのではなく、あくまで友達として度が行き過ぎた心配をしているのだと言う事は、一緒に暮らしている沖田には十分分かっていて…。沖田は頭を搔くとおもむろに口を開いた。

「別に泣かせるつもりじゃなかったんだけどねー。でも、泣いちゃったんだよねェ。」
ハァ?!平助は声をあげた。
あの後、結局どうしていいか分からず、そのまま歩いていた。その内目を散々こすりあげて泣き止んだ千鶴だったが、俯いたまま、「スイマセンでした…。」と呟いただけだった。
そんな近くに女を囲う仕事じゃないので、こんな時の扱い方が分からない。一瞬左之助ならどうするだろうか…。などと頭に浮かんだ。屯所に着いてからも、結局顔は上げないまま一礼し、奥へと消えた。
罪悪感が胸を締め付けた…。

「強い子だと思っていたけど、やっぱり女の子なんだよね。」
ふぅと息を吐き出すと、立ち上がった。まだ何一つ質問の答えを貰っていないと平助は不満の声をあげながら沖田を見上げた。
「まぁ、謝るだけ謝ってみるよ。」
結局、自分と会話が成り立たなかったが、それでもいいかと言う気分にはなれた平助は少し笑った。


いつもなら何処かを掃除していたりするもんだが、見当たらない所をみると、おそらく自室だろうと沖田は足を向けた。が、障子越しに声をかけても返答はなく、此処ではないのかと歩いていると、濡らしたタオルを目に当てながらあるく千鶴と、丁度バッタリ会ってしまった。
緊張してるのが十分、分かるように千鶴は喉をならした。が、そのまま何を言う事なく沖田の横をすり抜けた。しばらくその場に沖田は立ち尽くしていたが、こんな感じでいられると一緒に生活をしてる上で支障が生じると、もう一度千鶴の自室へ向かった。そしてもう一度名を呼んでみた。が、やはり返答はない。しかしこの障子の向こう側にいるのは分かっている。

「千鶴ちゃん、入るよ。」
言うなり障子をあけた。待ってとでも言おうとしたのか、千鶴の口は開いていた。
濡らしたタオルは千鶴の下へと、其処に染みが出来ている。沖田はそれをゆっくりと拾うと、そっと片目に押しつけた。
「泣かすつもりじゃなかったんだ。ただ、いつも俺達が側に居られる訳じゃない。その時、もし今日みたいな場面に会ってしまったら…。分かるだろ?」
「ハイ…。」
「一応、これでも心配して言った訳で、別に怒ってとかじゃないから…。」
こういう場面が心底苦手なんだろう。沖田は言葉を途切れ途切れに話した。別に怒って…。いや、実際あの時は確かに腹を立てて居た。が、今此処で言わなくてもいい事だと思ったのだった。
「分かってます。沖田さんが心配してくれて言ってくれた事。私も今日の事を胸に刻んで、自分の行動に責任を…持ちたいと、思います…。」
初め驚いた様に視線を交わしてから、やはりまた視線をそらしたままだ。そして今日の事がよほど恐かったのだろう、相変わらず自分の胸元をきゅっと締めている。今まで何度か危険な目に遭うこともあった。しかしそれは武士としての場面であって、今回の様に、女としての危険ではなかった。ゆえに、今日初めて体験した恐怖になる訳であった。実際沖田が仲裁にはいらなければ、自分では足がすくみ、到底逃げる事が出来なかった。色を前にした男の目が、あんなに恐ろしいものだと知り、恐くて、恐くて、たまらなかった。そして止めに沖田の言葉。わっと何かこみ上げるものがあったのだろう。そう考えると、今回の沖田の言葉は、確かにキツイものだったのかもしれない。恐怖で身をすくめる女からすれば、恐らく針の様に胸に突き刺さったのだろうと思う。台詞の内容とかではなく、表情や声が…。

時折ぶるっと震える千鶴の体、考えなくても、あの場面、あの男の視線や声を思い出しているのだと沖田にも伝わった。

だから、無意識に、手が出た―――。

優しく引かれた千鶴の体は沖田の胸にすっぽりと入った。
「お、沖田さん…。」
「ごめんね。僕が言う台詞を間違ったみたいだね。…恐い思いさせて悪かった。」
大きく開かれた瞳が瞬く間に水を帯びた。それほど堪えていた事を表していたのだった。自分の情けなさと不甲斐なさ、沖田に謝らせてしまった事の罪悪感、けれど沖田のこの行動に、台詞に声のトーン全てに全身全霊で安心しじんわりとこみ上げてくる気持ちがあるのも本当だった。
沖田の胸の染みは千鶴の涙によって、じんわりと広がっていく。背中に回すのは躊躇されたが、沖田の隊服の裾をきゅっと握った。沖田は片方で頭を撫で、もう片方の手で背中をやさしくさすった。

心に傷を負わせる前になんとか修復できるといい…。
人に干渉をあまり求めないし、しない自分が、何故かそんな事を思う機会が増えてきたと少々驚きながらも、その手をずっと動かし続けた…。



・・・・To Be Continued・・・・・


Category: 初めにお読みください
Published on: Thu,  09 2010 09:22
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4 Comments

真奈美  

千鶴にとって初めてでそんなに怖いことは無いものね。

仲直り(?)できてよかった^^;

2010/12/09 (Thu) 17:48 | EDIT | REPLY |   

きょん  

無自覚おそろしや…………乙
でも何ゆえ隊服来てるんですか?

2010/12/09 (Thu) 19:12 | REPLY |   
ツンデレ→真奈美ちゃんへ">

ツンデレ→真奈美ちゃんへ  

Re: タイトルなし

ツンデレ→真奈美ちゃんへ">


多分、きっと凄く恐かったんじゃないかな
と思います。すぐに問題に首をツッコミがちですが
其処には、いつも助けてくれる存在が
居るからで…。

とにもかくにも、その恐怖を沖田が拭えて良かった^^
つーか、沖田が近藤さん以外の人に感心を持つなんざ
凄い事なんだろうな、きっと…

2010/12/09 (Thu) 20:47 | ツンデレ→真奈美ちゃんへさん">REPLY |   
ツンデレ→きょんちゃんへ">

ツンデレ→きょんちゃんへ  

Re: タイトルなし

ツンデレ→きょんちゃんへ">

えと、それは、巡察の帰りすぐの出来事だからです^^
隊服=洋装って言う意味で書いたのですが
伝わりにくかったら、ごめんなさい^^

って、アレ?巡察って隊服でしてましたよね?

2010/12/09 (Thu) 20:51 | ツンデレ→きょんちゃんへさん">REPLY |   

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