木賊色の唄 act 5

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「よっ。ちーずる!」
翌朝、一番に千鶴に声をかけてきたのは、仕掛けた張本人である左之助だった。
柔らかい笑みで、おはようと返した千鶴だったが、その心は、実際の所複雑だった。
しかし、たったあの一晩で、自分が思いを寄せる男が、自分の中で何か気付いたと言う事を、まだ知らないでいた。
そんな千鶴に、にやにやと左之助は切り出した。
「な?だから言ったろ?俺に任しとけって。」
左之助の言葉に、千鶴は首をかしげた。対する左之助のほうは、平助が、あれだけむき出しにした感情を気付かないのかと思わず顎に手をやり、ある意味、千鶴の方が難しそうだと唸った。

そんな二人の背中に、声がかかった。
「よっ。ちーづる。」
左之助と同じようなテンションで声をかけてきたのは新八だ。千鶴は軽く頭を下げながら、おはようございます。そう微笑んだ。
新八は、千鶴と左之助を前に、テンションをあからさまに下げ、聞いてくれよ~、と口を開いた。

「また平助の奴、街の可愛い女から呼び出しだぜ?一体この世はどうなってやがんだ。あんなガキの何処がいいのやら…。」
千鶴も思うだろ?何も知らない新八は千鶴に泣きついた。この会話を、まずいと判断した左之助は、話題を切り替えようと試みた。けれど、新八のモヤモヤは以外に大きいらしく、出てくる出てくる愚痴の数々。その中には、千鶴が知らなかった話もちょこちょこと混ざっている。

一度だけでもデートしてくださいとの女の子を前に、基本優しい平助は断れず、何度か逢っていた事も実際はあった事。一度断っても、何度も何度も逢いにくる女の子を見ていると、ついふらふらとしそうになりかけていた事。出てくる話は多く、左之助は顔を覆い、まずったとの顔をさせた。この分では、どうやら左之助も知っていた話であると言う事が、嫌でも千鶴に伝わった。

話ているうちに、どんどんと千鶴の顔が曇っていく。いい加減にしろと左之助は新八の口を塞ぎ、ずるずると千鶴から引き離し、行ってしまった。
取り残された千鶴の顔は、今にも泣きそうだった。平助を好きになってからと言うもの、どうしてか自分がどんどんと弱くなっていく様に思えた。けれどとめられない。袴をきゅっと握ると、必死でその何かを堪えた。そんな千鶴の背中に又声がかかった。

「ちーずるちゃん。」
マイペースな沖田だった。両目を大きく開き、驚いた様子で沖田を見た千鶴だが、沖田である事に安心すると、瞬きと一緒に、ポロリと涙が零れた。
「す、すいません…。」
言いながら掌で涙を拭った。無意識に鼻がズッと鳴る。
「どうしたの?」
沖田独特の甘い声で、千鶴の顔を覗き込んだ。
「な、何でも…。」
「何でもって顔じゃ…ないよね。」
にっこりと笑うと、沖田はおいで、と千鶴の手を引いた。いつもならすぐに離す手だったけれど、今、どうしようもなく温かく、その手を離せなかった。





「新八っつぁん!」
いつものハイテンションで、やっと自室から起きてきた平助は、いいながら、背中をバシンッと叩いた。
これは、毎朝大抵繰り返される光景だった。痛ってーな!と振り向いた新八は、平助の顔を確認すると同時、コノヤローと首をぶんぶんと絞めながら揺さぶった。はぁー、とため息をつきながらそんな光景を左之助が見ている。やっと解放された平助は、何すんだよ!と声をあげた。新八は、先ほど千鶴に言った愚痴を、今度は本人に向けてグダグダといい始めた。何で知ってるんだと平助は抗議の声をあげたが、新八はそんな事はどうでもいいと平助に技をかけ始めた。しばしそんな時間が過ぎ、やっと解放された平助は、今日は厄日だと、土方の元へと行き、おはようと、そして、千鶴は?、と切り出した。

土方は、先ほど、沖田と二人で見かけたが…。と言った。
何となく自分の気持ちの蓋を開けてから、どうにも千鶴の隣に男の名前があるのが癪に障る。ふーんと気にとめないそぶりを見せたかと思うと、その平助の足は、千鶴と沖田を探しながら、沖田の自室の前へと行き着いた。

冷ややかな気持ちで、その前で止まる。
と、まもなく聞こえてきたのは、すすりなく、千鶴の泣き声。人の部屋だ。勝手にあけるモンじゃねー。
平助の頭に言葉がよぎった。けれどその言葉を完全に無視した感情は、脳から手先に、開けろと信号を出した。

傍から見れば、別にそんなにたいしたモノではない。
堪えきれなくなった千鶴が、平助の名前を呼びながら泣いていた所を、沖田が優しく抱き締め、背をさすっていただけ…。其処には、何の感情もない。千鶴の頭の中には、目の前で抱き締め背をさすってくれる沖田の事など、どーでもよく、平助の事だけがショックで溜まらなかっただけだったし、沖田はといえば、妹が、恋愛と言うもの気づき、悲しくて泣いている。それを優しく受け止め慰めてやる。そんな空気だった。

伝わらなかったのは、そんな二人の光景を、ボー然と見下ろす、平助だけだった…。



・・・・To Be Continued・・・・・
Category: 初めにお読みください
Published on: Sat,  08 2011 17:02
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2 Comments

きょん  

うわ勘違い勃発。
恥ずかしい勘違いを誰かがしてるよ違うよ気づいて~と自分まで恥ずかしくなりますよね。私はその場で身悶えます(`・ω・´)キリッ
新八っつあん………余計なことを…………
沖田が優しい。妙に優しいときありますよね。しかたないなあ千鶴ちゃんは。みたいに…………
沖田←

2011/01/08 (Sat) 18:40 | REPLY |   
ツンデレ→きょんちゃんへ">

ツンデレ→きょんちゃんへ  

Re: タイトルなし

ツンデレ→きょんちゃんへ">

基本沖田しゃんは、気を許したお人には
優しいんだろうなぁぁって思ってたりする♪

知らず知らずの間に、千鶴は
ちゃんと新撰組の中の一員になってたんだよねぇ^^

それにしても、平ちゃんが自覚しはじめた矢先に
こんなんなっちゃって、もう楽しすぎ!(←?)

2011/01/09 (Sun) 14:39 | ツンデレ→きょんちゃんへさん">REPLY |   

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