キャラメル★パレット act 27

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臨海学校を明日に控えた雅(みやび)と寧々(ねね)は、とあるデパートに二人で来ていた。
隼人(はやと)と蒼(そう)はといえば、いわゆるおいてけぼりである。
納得をしていないまま、彼氏を放置してまで二人きりでこんな所に来たのは、勿論ちゃんとした理由があるからだった。

全ては、先日隼人が、軽々しく口にした一言の所為。

もしかすれば、もしかするかもしれない。

あの日から、恥ずかしくも、雅の頭の中は、その事ばかり。隼人が何を言っても、ちっとも頭に入ってこやしない。そんな雅の様子にすぐに気付いた寧々に告白をし、こんな所に居る羽目になったのだ。

何を隠そう、此処は下着専門店。
色鮮やか、そしてデザイン豊富な品が沢山ある。先ほどから店内をくるくると回っては、恥ずかしさで頭がくらくらとしていた。別に初めて来た訳ではない。これまで人並に何度だって来た場所。けれど隼人の言葉が頭から離れない雅はどうしても直視する事が出来ない。すれば、リアルに想像してしまう。

とは言えど、買わずに帰ると言う事もできそうもない。

雅は胸に手を当てて考えてみた。

そもそも、自分は隼人の言葉を聞いて、そして冷静になった時何を思った?。
一番先に思ったのは、恥ずかしい……そんな羞恥心だった。隼人がそんな事を思っているなんて思ってもみなかった雅は、純粋に驚いた。自分の事をそんな風にみていたのかと。

そしてそんな風に思われるのを、自分は嫌だったのか?
嫌……ではないけれど……やっぱり恥ずかしい。

首をぶんぶんと振ると、雅は盛大にため息をついた。
「もう……どうしよう……隼人のばか……」
隣の寧々は、穏やかな笑みを見せた。
「可愛い……表情がくるくると変わって、とっても可愛いと思います」
寧々の言葉に、頬を雅は膨らませた。
「人事だと思って――――。が、柄じゃないけど……真剣なんだから……」
寧々はくすくすと笑っている。
「ね、寧々こそどうなのよ? 蒼なんか明らかに襲ってくる気配、満々じゃない」
反撃だと言うように雅が寧々へと言葉を吐く。
しかしその言葉に、一瞬だけ寧々の顔がかたまったのが分かった。
「え……、ごめん……別に茶化すつもりじゃ――――」
雅は寧々の細い腕を掴むと、焦るように言葉を吐いた。
「いえ……。あ、ごめんなさい」
先ほどの表情はナシとばかりに寧々は苦笑いで誤魔化した。

(何で……?)
明らかに先ほど寧々の表情はおかしかった。周りの空気が凍ったのが分かった。
照れた表情をするのならともかく、何故あんな表情をしたのだろう? 雅は思ったが、その事を寧々に聞く事ができなかった。

既に寧々はいつもの柔らかい表情に戻っている。
積極的に雅の前に色んな下着を持ってきてはその感想を求める。
あの一瞬の空気が分からないまま、雅は、何もなかった事にするしかなかった。










翌日、その天気は晴天に恵まれ、絶好の行事日和となった。
学校に着くなり見えた、その大きなバスは、生徒達のテンションを大きく上げた。普段は制服の雅達も、こんな日と言う事もあって、今日は私服。半袖のTシャツに、ミニスカートは、とても可愛らしくよく似合っていた。足元には、到着場所が海と言う事もあって、サンダルを……。

そんな寧々達は二人して、思わず声を上げた。

「うわぁ――――、大きいですねぇ」
「うん……。凄いね――――」

手に持っているその荷物が、余計にリアルに感じられる。
着替えや、買っておいたお菓子、それに……、重たいはずなのに、なぜかそれが心地よくて。


本当に、今日なんだ……。
二人して、顔を見合わせた。けれどすぐに前を向く。
なんだろう……。上手く表せれないこの気持ち。何だか少し、くすぐったい。

それを誤魔化すように、雅は口を開く。
「ちゃ、ちゃんと荷物は出来た? 忘れ物はない?」
「だ、大丈夫です。……ちゃんと、持ってきました」
「そ、そう……」

再び沈黙が二人を包む。
ちゃんと、持ってきた……。その言葉の中には、色々な思いが隠されている。
気恥ずかしさに襲われ、思わず俯く。

そんな二人の背中に、声がかかった。

「そんな所で何してんでィ、お二人さん」
驚き後ろを振り返る。

「あ……」

寧々から漏れた一言に、荷物を持った蒼は、笑みを見せ、口を開く。
「おはよう」
「お、おはようございます」
まともに顔があげられない。いつも学生服だった彼の姿は、今日は自分達と同じ私服。
TシャツにGパンと言うラフな格好だと言うのに、寧々の目には、特別に見えてしまう。

そんな寧々が、ちらりと隣を見てみると、何やら口を開きたいのを我慢している様な雅がいる。それを、さも楽しそうに見ている隼人が立っていて……。

「な、なによ――――。朝っぱらから喧嘩でも仕掛ける気?」
「い~や、別に……。ただ俺は、お前の口から、常識的な言葉が出てくるのを待っているだけでね」
雅は、口をぎゅっとつぐむ。
けれど、観念したように、ゆっくりともう一度開いた。
「お、おはよう……」
その言葉に、隼人は満足したように、笑う。そして憎たらしく口を開いた。
「おはよう、雅ちゃん」
くわっと噛み付きそうになるその頭を隼人はぐりぐりといじる。その表情は、ひどく楽しそうだ。
隼人の掌の中で、雅は、面白くないと頬を膨らませる。けれどそれもすぐに終わる。隼人は意図も簡単に雅の小さな手を絡めた。
「ほら、さっさと行くぜ。遅れちまわァ」
前を見ると、隼人の背中は、面白そうに笑っている。
何か口に出したい気分ではあったけれど、雅はそのまま繋がれた手を見下ろした。
その手はとても暖かく優しい。

(本当にもうっ…………)

拗ねた雅の表情が、隼人に伝わっているかは、分からない。そんな二人を寧々は笑う。
その寧々の小さな手を、蒼は手に取った。
「がらでもねえけど、繋がせてもらいまさァ」
「は、はい――――」
うつ向き気味の寧々の顔は、淡く火照った様に赤い。それはとても可愛らしく蒼の目に映った。
引かれるまま寧々は蒼の後ろを歩く。

心臓が、ありえない速さで鼓動を刻んでいく。
それは、どんどんと早くなる……。痛みを感じる様で、心地いい様なと思う、そんな速度で。
とても暖かく、幸せなものがそれを包み込む――――。


荷物を積み込み四人がバスに乗り込むと、その座席は、既に埋まりつつあった。
生徒達のテンションは高く、後部座席や、隣の席の友人、もしくは、付き合っているであろうその相手と、この日の為に買って置いた菓子袋を開け、他愛もない話を楽しんでいた。

先頭に居る隼人のすぐ後ろに居る雅が、その後ろに居る寧々を振り返り口を開く。
「さ……。寧々、どこの席にしようかしら」
「――――いやいや、ちょっと待て、雅ちゃん」
振り返った隼人が、雅の肩を掴むと、ひくりとなった。

「な、なによ……」
「何よじゃねえ。何でそうなるんだ?」
雅は、口を噤んだまま動かない。すると一番後ろに居た蒼が口を開いた。
「当りめーだろィ、寧々は俺の隣に座んでさァ」
その言葉に、寧々の大きな瞳は緊張した様に瞬きをする。その言葉を聞いた隼人は、意地悪く笑い、
「そー言う事だ」
言うなり雅の手を掴んだ。
そして手を引き奥へと進む。驚きに駆られながらも寧々を見てみると、どうやら彼女もまた、つかまった様だった。

中間辺りで、空いてる席を見つけると、隼人は奥側へと腰を下ろした。
そして隣の席を、さもここだと言わんばかりにトントンと叩く。
いくら大きなバスとは言え、その隣どうしの席には、仕切りもなにもない。そこに座れば、ほんの僅かであろうが体がくっついてしまう。雅が恥ずかしく立ち尽くしていると、どうやらその前の座席に、蒼が腰を下ろしたのが分かった。そしてその隣で、寧々の体が、ほんの僅か引かれたのがわかった。

トンっと、軽く振動した音。
それは寧々が、腰を下ろされた合図。
横を見ると、意地悪く笑いながら隼人が手を差し出していた。頬を膨らますと、その手を押しのけ腰を下ろした。自分のすぐ隣に、隼人の体がある。それはとても近くて、雅の脈を、トクン、トクンと動かした。

俯きぎみの寧々の顔を、横から軽く蒼は除きこむ。
「緊張していやすかィ」
「い、いえ……」
寧々が喉をほんの少し鳴らすと、蒼が笑った。

前の座席のその声を聞いた隼人が、意地悪く雅に口を開く。
「緊張してンのか?」
雅は、頬を膨らませる為に空気を含む。その頬を隼人の手が掴んだ。
そのまま、憎たらしく笑う……。
恥ずかしく雅が目をぎゅっと瞑ると、隼人は楽しそうに声を漏らした。
「まったく……可愛いねえ、雅ちゃんは――――」
くわっと噛み付きたい気持ちに駆られるも、大人しく雅の頬はしぼむ。

文句なんて、いくら言ったって物足りない。
この、早すぎる心臓の音をどうにかして欲しいとか、一体誰のせいで、こんなにも、緊張に駆られるのかだとか……。全ては、目の前にいるこの男のせいだとしか言い表せない。

どんどんと、先走るこの胸の鼓動に、うまくついていけない。
制御しようと思っても、それは全く言う事を聞いてくれなくて自分を困らせる。でも、それが嫌じゃない。
自分の中心にあるそれは、思いをどんどんと加速させていく。
痛い……だけど、甘い。

寧々は、膝の上で手を遊ばせる。それくらいしないと、この間に、絶えられなかった。ほんの少し横目で隣を見てみると、そこには、今も蒼が居る。
近い――――。それは、変えられないリアルだった。



もしこれが、雅だったならば、どれだけよかっただろう。
きっと他の子達みたく、二人でお菓子を広げて、他愛もない話に華をさかせて楽しんでいただろう。
でも、側に居たい……。そう思う気持ちがあるのも、寧々の本音だった。

「俺は、幸せモンでさァ」
「……え?」
唐突な蒼の言葉に、寧々はつぶやいた。
「あんたが側に居てくれる」
寧々の貌がわっとなる。
いつも蒼は、惜しみもなく、自分を甘く溺れされる。それは躊躇もなく……。
自分を見る、蒼の瞳は、限りなく優しい。本当は、もっと上手く口に出して、ちゃんと伝えたい。
そう思うのに、いつも気持ちばかり先走って、言う事を聞いてくれない。
上手く、蒼を見ることが出来ない。

でも――――――。
「わ、わたしも……です」
口を開いて、ほんの少し頷いた。
幸せなのは、自分の方だ。言葉に上手く言い表せれない気持ちは、寧々の中で、どんどん、どんどんと大きく膨れ上がる。甘く、蜜を吸いながら。
寧々の、柔らかく長い髪を、蒼は、掌でそっとすくい、触れる。 
堪えきれず、寧々は瞳を閉じる。その横で、蒼が笑ったのが分かった。
心臓の音が、待つことを知らないかの様に加速していく。言う事を聞いてくれる事なく……。我侭の様に……。
それは寧々と雅の中で、幸せだと唄い続けた。





・・・・To Be Continued・・・・・

Category: ★キャラメル ★ パレット(hit小説)
Published on: Wed,  16 2012 17:34
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