Day After Tomorrow act 13

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思いながら今、神楽が手にしているのは、にっくきあの男へ向けた手紙。

たった一言で、解放される。もう振り回されたくない。
そう思いながら何度だってペンを取るのに、くしゃくしゃに丸め込まれた紙が、神楽の周りには、増えて行くだけ。

「あ~もぅ!」
ゴロンと背を畳につけると、目の前には天井。答えなんて、どこにも書いてない。
沖田の心が分からない。分からなさ過ぎて、泣くことさえ疲れてしまったのに、まだ涙は枯れ果てていない。

「ほらよ」
いつも聞く、けだるい声が、まぶたを閉じているその向こう側から聞こえた気がして、神楽は目を開けた。
視界に入ってきたのは、白い封筒。手にとった神楽は、差出人の名前を見ると、大きく目を見開いた。




待ち合わせの場所は駅前通り。
手紙の中には、この場所と、指定された荷物が記されていた。
神楽は、この場所で、三十分ほど前から立っていた。
その間、何度も時計の針を気にしては、きょろきょろと視線を左右してはみる。
そして、またじっとそこに立っては、時間が経過するのを待っていた。

そんな神楽の肩に、トンと掌がのった。ハッとしながらも、勢いよく振り返る。
「沖……っ」
語尾を出すまでもなく、神楽は口をとざした。目の前に現れたのは、どこにでも歩いているような男。話をきくのもうんざりだとする神楽の肩に、もう一度、後方から肩へと手がのった。
「いいかげんに……っ!」
今度も神楽は語尾を出す前に、口をとじた。
目の前には沖田がいた。神楽を目の前に、そこを通り越して、その先の男へと、するどい視線をおくる。

まだ神楽は色々のみこめていないのか、まっすぐと、沖田を見つめている。
もう何日も、この男に言ってやりたいことばかり、考えていたはずなのに……。
「荷物は持ってきたかィ」
「あ……はいアル」
当たり前のように握り締めてきた手の温もりを感じた神楽は、もう何もいえなかった。


駅のホームへと入り、車両へと乗り込むと、神楽は沖田と二人、席へと腰をおろした。
沖田は予め買っておいたのか、神楽にお茶の口を差し出した。神楽は特に反抗する態度もみせずにそれを受け取ると、口をつける。喉に流れていくお茶の苦味が、緊張を強調させたきがした。
窓の外へと視界を向けると、ゆっくりと、電車はスピードをあげていく。

「悪かったな」
沖田の言葉が隣から聞こえてきたのが分かったけれど、神楽は沖田の方へ、向こうとはしない。
「何が悪かったアルか?」

こんな事が言いたかったんじゃない。
何度も何度も、書きなぐってくしゃくしゃに丸めた紙が増えたのも、たった一枚の紙切れの中に、簡素なぶんで愛着のある字をみた途端に胸が高鳴ったのも、朝が苦手なのに、早起きしたのも、待ち合わせの時間に、早く来すぎたのも……。

ぜんぶ……ぜんぶ……。

「な、何してるアルカっ!」
背中にくっついてきた熱に、神楽はわっとなった。
「おまっ! 何するアル! 離っ!」
せって、いいたかったのに、思いをぶつけられるように抱きしめられて、思わず力が緩んだ。
赤くなっているであろう頬を隠したいとうつむいたら、背中で、沖田が笑ったのが、分かって頬をふくらませた。

「いいから、ちょっと黙ってろ」
耳打ちされるような低い声が、心臓へとつきささった気がした。

離して……なんて、思ってもないこと、もう言えないと降参した神楽がいた。


午後一時、神楽たちは、車両で昼食をすませたあと、街の繁華街とは離れて、静かな旅館へと着いていた。
フロントでチェックインをすませたあと、仲居にと連れられて、ひとつの部屋へと案内された。
ゆっくりと襖が、仲居の手で開かれると、神楽はその奥の窓から見える風景に、あっと息を飲み込んだ。

にぎやかな江戸の騒ぎとは裏表、小さな庭園には、色とりどりの植物が視界にひろがった。
すでに仲居の姿は部屋にはなく、庭園にある小さな池からは、耳をすませると、水の流れる音が聞こえた。

「綺麗アル」
目の前の広がる景色を前にして、神楽は皮肉の言葉を出す気にはならなかった。
心の中のモヤモヤが晴れていくというのは、きっと、こんな時を言い表すんだろうと。

気がつけば、沖田の手は、神楽の背中からピタリと体がくっつき、前へと回されていた。

分かっていたことだけれど、今回の事は、沖田が隊の隊長として任されていた事だったんだろうと思う。
その証拠に、見送りをしてくれた新八からは、近藤からだと、茶封筒にささやかな、贈り物がはいってあった。
それは、沖田とふたり、のんびりしてこいと言う、彼なりの気持ちとお詫び。

「それでも……」

くやしいけれど、今でもまだ、あの娘と、やっぱり何かと、気にする自分がいた。

言っちゃいけないからこそ、言わなかったんだ。それが沖田が全うしている仕事だから。
だから、あれこれと口に出しちゃいけない。それは分かってる。

「でも、理屈じゃないアル」
頭で理解できて、それで気持ちをコントロールできるなら、こんな思いにかられない。

だから泣けてくるアル……。



後ろから、回された手が、そっと神楽の細い指を手にとった。
(こいつのこの指は、私だけのものアル)
思って、涙が出た。

後ろから、与えられた熱が、そっと首筋に絡みついた。
(こいつのこの温度は、私だけのものアル)
また思って、涙がでた。



「俺と結婚してくれやせんかィ?」

思ってもなかった台詞が、たった今、沖田から落とされて、神楽は衝動的に振り返った。
まだ、言葉がでる段階ではないらしく、ただただ、瞬きをしている。

(こいつ……いま、何て)
多分、聞き間違いじゃない。でも、信じれない。

でも、この表情……とても嘘なんてついてるようには……。

思う神楽の頬に、沖田が触れた。

見る見る間、くしゃりと、神楽の顔が緩んだ。
くいっとひっぱったのは、どちらかか、きゅっと、その体を抱きしめた。

「俺の嫁になりやすかィ?」

こんなの、絶対反則ヨ

「…………はい」

左手の、薬ゆび、神楽にピッタリとおさまる指輪が輝いていた。



・・・・To Be Continued・・・・・


Category: Day After Tomorrow
Published on: Wed,  19 2014 17:14
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